動画コンテンツの普及と市場規模の急激な拡大に伴い、企業のコンテンツマーケティングの一環として動画マーケティングの重要性が高まっています。比較ビズと株式会社Funusualの共同調査(2025年)では、動画マーケティングを行っている企業のうち、動画コンテンツの費用対効果について、「非常に満足」または「やや満足」と回答した企業が約7割を占めました。
適切な目標と戦略を立てて動画マーケティングを行うことで、企業やブランドの認知向上や集客、売り上げの拡大などが期待できるため、今後企業の成長のために考慮すべき要素と言えるでしょう。
この記事では、動画マーケティングとは何か、そのメリットを解説するとともに、始め方や戦略、アイデアや成功事例なども紹介します。

動画マーケティングとは
動画マーケティングとは、動画を利用して企業やブランド、商品やサービスを宣伝し、認知向上やウェブサイトへの誘導、売り上げの拡大を図ることです。
スマートフォンの普及とSNS利用者の増加に伴い動画を視聴する人が増えていることから、さまざまなブランドがマーケティング戦略として採用しています。
動画マーケティングは、TikTokやInstagramリールのような素早く見られる縦型動画から、YouTubeのような横型でブランドストーリーを伝えやすい長めの動画まで、さまざまな形式が利用できます。また、動画マーケティングのコンテンツで人気があるのは、ハウツー(how-to)動画、説明動画、舞台裏動画、開封動画、カスタマーレビュー動画などです。
動画マーケティングのメリット
- 没入感があり引き込まれる:動画は静的なデジタルコンテンツよりも動きと音による没入感があり、視聴者をブランドに引き込めます。
- 情報をわかりやすく伝えられる:写真やテキストよりも1つの投稿で入れられる情報量が多く、より効率的にマーケティングを行えます。

動画マーケティングの始め方
動画マーケティングを始めるステップは以下の通りです。
- マーケティング戦略を立てる:ターゲットとする視聴者像、達成目標、コンテンツのジャンル、動画のコンセプトの設定をします。
- 動画プラットフォームを選ぶ:公開場所を戦略や予算に合わせて選択します。複数のプラットフォームを利用する場合は、プラットフォームによって適切な動画の長さやサイズが異なるため、それぞれに合うように動画を最適化します。
- 魅力的なコンテンツを作成する:動画マーケティングの目標を達成できるように、事前に立てたマーケティング戦略を基にコンテンツを作成します。
- 動画を公開する:誤字脱字や動画サイズなどを最終確認して、プラットフォームに動画を公開します。
- 動画を宣伝する:ウェブサイトに掲載したり、その他のSNSで動画を共有したりして多くの顧客にリーチできるようにします。YouTube広告やTikTok広告などの動画広告を利用するのも効果的です。
- 結果を分析する:プラットフォームの分析ツールを使用して、公開した動画の視聴時間やエンゲージメント率、視聴者の属性などのデータを分析し、次の動画マーケティングのコンテンツや公開時間などを最適化します。

動画マーケティング戦略を立てる際に考慮すべきこと
動画マーケティングで成功するためには、動画を撮影する前に戦略やコンテンツを入念に準備することが大切です。YouTubeショートなどの短編動画であっても、誰のためのものなのか、顧客にどんな行動を取ってもらいたいのか、KPIをどのように設定するのかを考えましょう。
他には、以下のような内容を考慮して動画マーケティング戦略を立てましょう。
ターゲットを絞り込み理解する
ターゲットを明確に絞り込むことは、効率的な動画マーケティング戦略を立てるために極めて重要です。性別や年齢層、家族構成、仕事、生活スタイル等、データを掘り下げてペルソナ設定をしたり、顧客をセグメント化したりすると、興味のあるテーマや視聴する時間帯などが予想できます。特に、ターゲット顧客が抱える問題やニーズにこたえる内容にすると、効果的な動画マーケティングが行えます。
目標を設定する
必要な行動を明確にするために、動画の配信に目標を設定しましょう。メルマガやYouTubeチャンネルへの登録、売り上げの向上を目標と設定した場合、クリック数や売上金額など、測定可能な指標を設定することで、動画マーケティングの成功を定量的に判断でき、次に作成する動画のコンテンツタイプや長さなども改善できます。
予算を設定する
動画製作にかかる人件費や編集費用などを含めた予算を設定しましょう。TikTokなどの縦長動画は、短尺動画の方が視聴されやすいため、その分制作費が抑えられます。
YouTubeチャンネルのトップやAboutページに掲載するブランディング動画には予算をかけるのもよいでしょう。予算に限りがある場合は無料の動画編集ソフトを使用したり、独学で編集を学んだりすることなどでコスト削減も可能です。
伝わりやすいCTAを設定する
動画を使って効果的にマーケティングするためには、明確なメッセージとCTA(コールトゥアクション:リンククリックなどの行動を起こしてもらうための要素)の設定が必要です。動画コンテンツから視聴者に感じてもらいたいこと、視聴者に取ってもらいたい行動を決め、チャンネル登録やアカウントのフォローなど、視聴者がどのような行動を取ればよいのか明確にわかるCTAを設定しましょう。
ブランドイメージを維持する
すべての動画コンテンツで一貫したブランドイメージを提供するようにし、ブランドカラーなどのブランドアイデンティティを動画にも適用します。また、音楽や編集スタイル、フィルターなど動画特有の要素についても、既存のブランディング要素に合うように気を配ります。映像の編集などを専門の会社に依頼する場合は、誤解がないようにイメージを伝えることも大切です。

動画マーケティングのアイデア
ブランディング動画
ブランディング動画は、商品、ブランドストーリーなどを視聴者に紹介し、ブランドと共通の価値観を持った潜在顧客とつながる機会を得たり、ブランド発足や商品開発の舞台裏を紹介したりすることを目的として作られます。チャンネルの予告編、ブランドのウェブサイトやAboutページに掲載される動画などで使用される形式です。
建材と水まわり製品を取り扱うリクシルのブランディング動画は、「幸せとはなんだろう?」という問いとともに、家族の穏やかな日常の風景を通して自社の取り組みや理念を伝える構成になっており、250万回近い再生数を記録しています。
ライブ配信
ライブ配信は、Instagram、Twitch、YouTubeなど多くのSNSで人気の形式です。チャットやいいね機能で直接商品のフィードバックを受けられるので、顧客と直接関わりたいブランドに効果的な方法です。ライブ配信には顧客との雑談、Q&Aセッションや商品紹介などが含まれます。
Qoo10は、コスメ、ファッション、家電など幅広い商品を取り扱うECモールで、ライブコマースでは1時間で最高1億円以上もの売り上げをあげています。Qoo10アプリやSNSで手軽に視聴できるライブで質問やコメントに答えることで、視聴者の不安を解消し、購入を後押ししています。
レビュー動画
レビュー動画は、文字では伝えにくい使用感や質感などを伝えることができ、購買意欲の向上に役立ちます。実際に商品を使用した顧客やインフルエンサーなどに感想を共有してもらったり、SNSで顧客が作成した動画レビュー(UGC)を共有したりすることで、より消費者目線で紹介できます。
スキンケアブランドのFASは、タレントによるレビュー動画でテクスチャーがわかるような見せ方をしたり、実際に使用しながら感想を述べたりと、消費者の立場から商品の情報を伝えています。
教育動画
教育動画とは知識を伝える動画のことで、簡単なHow to動画やオンライン講座などが含まれます。ターゲットの興味を引くコンテンツを競合分析や市場調査で見つけ、それに関する教育動画を投稿することでオーガニック検索での流入が期待できます。幅広く視聴者の興味を引きたい場合はGoogleトレンドなどでターゲット顧客の興味に合うキーワードを探し、それに関する動画を作成するのもよいでしょう。
毛糸を中心に手芸用品を販売するハマナカ株式会社は、公式Youtubeで初心者向けの編み物の基礎知識や作品の編み方などを紹介しています。自社で運営する手編みと手芸の情報サイト、あむゆーずでも一部の動画を公開しています。
商品紹介や開封動画
商品紹介や開封動画は、商品の使用感や特徴について詳しく伝えることができるため効果的です。専門的な知識が必要な商品や、組み立ての手順が複雑な商品、開封体験をアピールしたい商品などはこの形式が最適です。ライブ配信やSNS用の短編動画、商品ページ用の動画など、さまざまな場面で活用できます。
無印良品は新商品をInstagramのリール動画で紹介しています。このリールでは、エアマットレスの使い方と使用感、片付け方法を実際の動作とキャプションで説明し、商品の良さを視覚的に伝えています。
説明動画
説明動画は、簡単な商品紹介や開封動画よりも、商品の特徴をより深く掘り下げ、既存顧客と潜在顧客両方の興味を引く長めの動画です。
美容機器とスキンケア用品を取り扱うBrighteのYoutubeでは、美容の専門家を講師に迎えて美容機器の使い方動画を投稿しています。悩みに応じたわかりやすい機械の使い方を教える動画で、併用されるスキンケア用品とともに購買意欲の向上を促しています。
舞台裏動画・Vlog
舞台裏動画や日常がメイントピックのVlogで商品を紹介することで、視聴者の共感を得ながら商品に興味を持ってもらうことができます。また、生活感のある動画を通して、視聴者に商品の疑似体験のような感覚を与えることもできます。
日本最大手の航空会社であるANAは、コロナ禍によって激減した顧客との接点を増やすためにSNSマーケティングを強化しました。特にInstagramでは社員に焦点を当て、親近感を抱かせる舞台裏リール動画をアップして100万人を超えるフォロワーを獲得しています。

動画マーケティングのコンテンツ配信先とプラットフォーム
動画マーケティングでは、適切なコンテンツを適切なプラットフォームで配信することが重要です。複数のタイプの動画コンテンツを試して、マルチチャネル戦略として活かせる動画制作を心がけましょう。
配信チャネルの種類
動画マーケティング戦略でコンテンツを配信するチャネルには大まかに3つのタイプがあります。
- オウンドメディア:ウェブサイト、ブログ、Eメール、ニュースレター、SNSなど、ブランドが直接運営するチャンネルで、ブログ内、商品ページやランディングページ、メルマガなどに動画を埋め込めます。
- 有料メディア:YouTubeなどの動画中に再生されるような動画広告は、有料メディアの一種です。Instagram、Facebook、XなどのSNSに掲載できます。
- アーンドメディア:ブログ記事への掲載や著名なインフルエンサーからのリポストなど、契約や支払いをしていない第三者による配信はアーンドメディアです。メディアやインフルエンサーが任意に動画を取り上げるため、ブランド側が計画して実行することはできません。
動画マーケティングにおすすめのプラットフォーム
Facebookは、世界で最も利用者数が多いSNSで、他のSNSと比べると若者よりも30代以上のユーザーが多いため、利用者層に合った動画を投稿する必要があります。Facebookの調査によると、ユーザーの50%がストーリーズで新商品の情報を得たいと感じていることなどから、Facebookでも24時間で投稿が消えるストーリーズでの配信が有効です。
Instagramは、ユーザーとブランドがつながりやすい人気のプラットフォームです。ストーリーズのような短い動画だけでなく10分までの長い形式の動画にも対応しています。ハッシュタグの使用やインフルエンサーの活用などを行うことで、顧客への動画の露出が増え、動画マーケティングの目標が達成しやすくなります。
TikTok
TikTokはZ世代だけでなく30代以上の中年層にもリーチ可能です。また、ビジネス利用のアカウントが増えてきているものの、企業アカウントは他のSNSほど多くないため、動画の露出を高め動画マーケティングの効果を上げることも期待できます。TikTokでは親近感やリアリティが求められる傾向にあるため、インフルエンサーやUGCを活用したり、トレンドの曲やネタを使ったりするのも効果的です。
YouTube
YouTubeは27億人を超えるユーザー数を誇る、世界で人気のある動画投稿のプラットフォームです。検索エンジンでも動画が表示されるので、キーワードに合うコンテンツを作成することでオーガニックトラフィックが見込めます。YouTubeのアルゴリズムは、一貫した動画アップロード、キーワード、トレンドトピックに沿ったコンテンツを持つチャンネルを優遇するため、横長動画だけでなく、利用者数が増えている縦長動画も活用しながら魅力が詰まった動画配信を心がけることで、動画マーケティングの効果を上げられます。
動画マーケティングの成功事例
LOWYA:親近感のある商品紹介動画でバズりアイテムを生む
家具ブランドのLOWYA(ロウヤ)はSNSを集客の要としており、TikTokやInstagram、Youtubeなどで動画マーケティングを展開し、特にInstagramのフォロワー数は約140万人と人気のアカウントになっています。
特別な撮影機材ではなくスマホで撮影された数十秒の短い商品説明動画は視聴者との心理的距離感を近づけ、「バズりアイテム」が数多く生まれました。また、「インスタLiveで商品開発会議」と題し、アンケートやコメントを通して消費者の意見を商品開発に取り入れるライブ配信を行うなど、動画を活用したマーケティングに注力しています。
アサヒ飲料:縦型ショート動画でZ世代との接点を獲得
アサヒ飲料は、TikTokとInstagramの縦型ショート動画を活用してZ世代との接点作りに成功しています。
利用者の半数以上がZ世代であるTikTokに、「開始2秒で視聴者を引き込む」戦略的な動画を投稿して初月122.2万再生を達成しました。その後、Instagramでは三ツ矢サイダーを活用した初投稿が635.5万再生、別の動画は913.9万再生を達成するなど、広告費をかけない通常の投稿で複数回のバズりを記録しました。
有隣堂:独自のコンテンツとライブ即売会で成功
創業明治42年という長い歴史を持つ書店、有隣堂の公式Youtubeチャンネル「有隣堂しか知らない世界」は、老舗の書店ならではの幅広い分野に及ぶ興味深い動画コンテンツで人気です。
同チャンネルでは定期的にライブ配信を行っており、中でも書籍の即売会ではわずか10分37秒で図鑑4,000冊を完売するなど、動画マーケティングが売り上げに大きく影響していることが伺えます。
まとめ
動画コンテンツの普及を背景に、動画マーケティングを重視する企業が増加しています。動画はより多くの情報を提供でき、目標やターゲットに合わせたプラットフォームやコンテンツ形式を選ぶことで、効果的にマーケティングを行えるのがメリットです。適切な目標と戦略を立てて行うことで企業の成長につながるため、ぜひこの記事を参考に動画マーケティングを開始しましょう。
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動画マーケティングに関するよくある質問
動画マーケティング戦略とは?
動画マーケティング戦略とは、動画コンテンツを活用して、企業の認知向上、集客、商品理解促進、購買意欲向上、コンバージョン獲得までの一連のマーケティング目標を達成するための戦略です。動画を作り公開するだけではなく、目標とターゲット設定、配信プラットフォーム選定、効果測定、改善まで、PDCAサイクルの一連の流れが含まれます。
動画マーケティングの効果は?
動画マーケティングの効果は十分期待できます。比較ビズと株式会社Funusualの調査では、動画マーケティングを行っている企業のうち費用対効果について、非常に満足もしくはやや満足と回答した企業が約7割に上りました。この結果からも、目標を明確にし戦略を立てて動画マーケティングを行えば、良い結果が期待できることが伺えます。
ビデオマーケティングとは?
ビデオマーケティングとは、動画を利用して企業やブランド、商品やサービスを宣伝し、認知向上や売り上げの拡大などを目指すことです。動画マーケティングとの使い分けは明確になっておらず、同じ文脈で使用されることが多い用語です。
文:Tomoyo Seki





