2025年に日本インタラクティブ広告協会(JIAA)が実施した広告に関する意識調査によると、インターネット広告を「信頼している」と回答した人は21.6%にとどまっています。一方、2024年に公表された消費者庁の「消費者意識基本調査」によると、「インターネット上の口コミや評価が高い商品を選ぶ」かという設問に対して「当てはまる」と答えた割合は70.1%に上りました。
口コミやSNS投稿などに代表されるUGC(ユーザー生成コンテンツ)は、企業のマーケティング戦略においてますます重要性が高まっています。
この記事では、UGCの種類について解説し、UGCを獲得するコツや、活用事例、利用する際の注意点についてまとめました。

UGCとは
UGC(User Generated Content)とは、口コミやSNS投稿のように、消費者などのユーザー自身が作成・発信するコンテンツを指します。日本語では「ユーザー生成コンテンツ」と呼ばれます。ECサイトに掲載されるレビュー、SNSに投稿された写真や動画、コミュニティ掲示板での質問や回答などは、いずれもUGCに含まれます。
UGCは購買行動に影響を与えるという点では広告と共通していますが、企業発信の広告と比べて顧客からの信頼を得やすいことが特徴です。

UGC投稿の種類
1. 消費者によるコンテンツ
UGCの中でも特に多いのが、消費者によって作成されたコンテンツです。ユーザー視点で語られるため、製品やサービスの実際の使用イメージが伝わりやすく、潜在顧客の共感を得やすいという特徴があります。さらに、UGCを起点として企業と顧客、あるいは顧客同士のコミュニケーションが生まれることで、ブランドへのエンゲージメント向上にもつながります。
また、消費者によるUGCは、企業にとって価値の高い情報資産です。例えば商品レビューは、改善や開発に活かせる直接的なフィードバックとなります。企業側が想定していなかった画期的な使用方法が発見されたり、製品・サービスの新たな価値やアイデアが生まれたりするケースも少なくありません。
消費者によるコンテンツとしては、次のような例が挙げられます。
- 口コミや星評価
- 消費者が撮影した商品写真
- 開封動画、レビュー動画
- コミュニティフォーラムでの質問と回答
2. インフルエンサーによるコンテンツ
いわゆるインフルエンサーマーケティングとして、影響力のあるインフルエンサーに企業が報酬を支払い、UGCの投稿を依頼する手法もあります。生活者の視点から語られるインフルエンサーの意見は、商品選びの参考にしたいと考えるユーザーが多く、購買行動に影響を与えやすい点が特長です。
商品やブランドと親和性の高いインフルエンサーにUGC投稿を依頼することで、インフルエンサー自身のフォロワーをはじめ、企業公式アカウントだけではリーチしにくい顧客層へ訴求できる可能性があります。
一方で、インフルエンサーによるUGCは、ステマ(ステルスマーケティング)にならないよう注意が必要です。報酬を支払い、案件として投稿を依頼する場合は、広告であることを明示してもらうなど、透明性を確保することが重要です。
インフルエンサーによるコンテンツには、次のような例が挙げられます。
- インフルエンサーが商品と共に写った写真
- 商品のレビュー動画
- 商品の使用感のレポート漫画
- インフルエンサーとコラボした商品プレゼントキャンペーン
3. スタッフによるコンテンツ
企業のスタッフが一個人として製品やサービスについて発信するコンテンツも、UGCの一種です。販売スタッフの人柄や価値観が伝わることで、ユーザーは商品をより身近に感じやすくなったり、スタッフ個人のファンが生まれたりします。また、商品をよく知る人物の情報発信が、コンテンツマーケティングの側面を持つことも期待できます。
スタッフにとっても、コンテンツ発信はモチベーション向上につながる要素です。フォロワーからのポジティブな反応や「いいね!」は、接客や販売への前向きな姿勢を後押しします。さらに、発信を通じてスタッフの自信が高まり、企業や商品への愛着が深まる効果も見込めるでしょう。
こうしたスタッフ発信型UGCは、アパレルやコスメ、インテリア業界を中心に活用が進んでいるほか、近年では食品や家電業界など様々な業界へ広がりを見せています。
こうしたコンテンツには、次のような例が挙げられます。
- アパレル販売員のコーディネート写真
- 化粧品販売スタッフのおすすめスキンケアアイテム紹介
- 食品会社スタッフのアレンジレシピ動画
- 家電の使用風景を見せるライブ配信
- ライブコマース

UGCを獲得するコツ
1. 消費者へのアプローチ
SNSでの検索と返信
SNSで製品名やサービス名を検索し、既存のUGCには積極的に反応しましょう。公式アカウントから「いいね!」や返信、引用・再投稿を行うことで、投稿者との交流が生まれ、新たなUGC創出につながる可能性があります。さらに、そのやり取りを見たフォロワーが新たにUGCを投稿するきっかけになることも期待できます。
ファンコミュニティの育成
Instagram(インスタグラム)、X(エックス)、Facebook(フェイスブック)、TikTok(ティックトック)などのSNSアカウントを運用し、フォロワーや潜在顧客と積極的に交流することで、ファンコミュニティを育成していきましょう。また、FacebookやLINEの公式アカウントが提供するグループ機能を活用し、ユーザーコミュニティを立ち上げるのも有効です。
ファン同士の情報交換が活発になることで、投稿への心理的ハードルが下がり、UGCの投稿数増加が期待できます。コミュニティ内での継続的な交流は、ユーザーの参加意識を高め、UGCが自然に生まれやすい環境を形成します。
ハッシュタグを利用したユーザー参加型キャンペーンの実施
SNSで商品やブランド専用のハッシュタグを設定し、投稿を募集するというアイデアもあります。その際には、投稿者の中から抽選でプレゼントを提供する形式が効果的です。キャンペーンの内容を工夫すれば、既存の顧客だけでなく、潜在的な顧客にもアプローチでき、多数のUGCを集めやすくなるでしょう。
コンテストの開催
コンテスト形式で製品の利用シーンに関するコンテンツを募集することで、質の高いUGCを効率的に獲得できます。
例えばGoPro(ゴープロ) では、同社製品で撮影した写真や動画を募集する「GoPro Awards」を公式に開催しています。受賞者には、GoProギアや賞金が贈られます。受賞作品は公式ページで公開されており、既存顧客だけでなく潜在顧客の関心も集めるUGC施策として高い効果を発揮しています。
レビューの依頼
製品やサービスを購入した顧客に対し、レビューの投稿を直接依頼するのも良いでしょう。物理的な商品を扱う場合は、レビュー投稿先のQRコードや投稿手順を記載した案内を商品に同梱することで、投稿のハードルを下げられます。
また、購入後のお礼メールでレビュー投稿を促したり、投稿特典として割引クーポンを提供したりするなど、顧客が自然にレビューを書きたくなる導線を設計しておきましょう。
2. インフルエンサーへのアプローチ
無償ギフティング
ギフティングとは、インフルエンサーに自社製品やサービスのサンプルを提供し、レビューや紹介を依頼するマーケティング手法です。提供する商品そのものが報酬となる「無償ギフティング」は、コストを抑えてUGCを獲得したい場合に役立ちます。
ただし無償である以上、必ずレビューしてもらえるとは限らない点や、コンテンツのコントロールができない点、投稿日時が指定できない点などに注意してください。
有償ギフティング
報酬を設定したうえで、インフルエンサーにUGCの制作・投稿を依頼する手法で、いわゆるPR案件のことです。報酬額は投稿内容や形式、フォロワー数によって異なりますが、一般的には「フォロワー数 × フォロワー単価」で算出され、単価の目安は「2〜4円」とされています。
有償であっても、インフルエンサー自身の正直な意見を、本人の言葉で発信してもらうことが重要です。過度に好意的な表現を求めたり、使用する言葉を指定したりすると広告色が強くなり、UGC本来の信頼性や魅力が損なわれるおそれがあります。
イベント招待
会社で企画したイベントにインフルエンサーを招待し、イベントの体験レポートを発信してもらうというのも効果的なアプローチ手法です。
3. スタッフへのアプローチ
インセンティブ制度の構築
スタッフがSNSで企業や商品についてポジティブな投稿を行った場合や、スタッフ個人のSNS経由で売上が発生した場合にインセンティブを付与する制度を整えましょう。投稿の成果を可視化し、適切に還元することで、スタッフの発信意欲を高め、継続的な投稿につなげることができます。
ガイドラインの共有
SNS投稿に関するブランドガイドラインを策定し、スタッフ間で共有しておきましょう。あわせて、基本的なネットリテラシーの知識も共有することで、スタッフの投稿による炎上などのリスクを低減できます。スタッフが正しい知識を身につければ、SNS運用に対する不安が軽減され、結果として投稿頻度の向上にもつながります。
研修、勉強会の開催
SNSの効果的な活用方法についての研修を実施しましょう。あわせて、各スタッフが工夫した投稿内容や得られた反響を定期的に社内で共有し、勉強会を開催するのも良いでしょう。こうした取り組みを通じて経験が蓄積・共有されることで、スタッフ全体の発信力が向上し、UGCの品質向上につながります。

UGCの活用事例
1. BASE FOOD(ベースフード)
完全栄養食を販売する「BASE FOOD(ベースフード)」は、Instagramに投稿されたUGCの中から、実際の利用シーンが想像できる投稿を厳選し、ウェブサイト訪問者が最初に接触するLP(ランディングページ)に掲載しました。その施策も相まって、CVR(コンバージョン率)は1.24倍に向上しました。
BASE FOODの事例からは、消費者の生活を具体的に想起させるUGCが、消費者の購買を後押ししやすいことがわかります。
2. Furbo(ファーボ)
台湾発のドッグカメラブランド「Furbo(ファーボ)」 は、UGCを効果的に活用し、顧客同士、そして企業と顧客のコミュニケーションを活性化させています。特にInstagram運用が特徴的で、ユーザーが投稿した製品レビューを公式アカウントが引用リポストし、返信やアンケートを添えて他のユーザーにも参加を促しています。これにより、UGCを起点とした双方向のコミュニケーションが生まれています。
さらに、Furboは公式ECサイトとAmazon(アマゾン)の両チャネルで、レビュー全件に返信するという戦略をとっています。ネガティブなレビューも含めて内容を分析したり、製品に関する指摘を開発チームへフィードバックしたりして、次の製品改良や開発要件に活かす体制を整えています。
3. COHINA(コヒナ)
150cm前後の低身長・小柄女性向けファッションブランド 「COHINA(コヒナ)」 は、スタッフ発信型UGCを効果的に取り入れたマーケティングを展開しています。
公式サイトでは、スタッフの身長とともにコーディネートスナップを掲載し、各スタッフのプロフィールから個人のInstagramアカウントへ遷移できる設計を採用しています。スタッフ自身がターゲット層と同じ小柄女性であるため、同じ身長の悩みを持つ視点で着こなしや日常を発信する投稿は、利用シーンを具体的に想起させる良質なUGCとなっています。
4. kurasso(クラッソ)
生活雑貨のショッピングサイト「kurasso(クラッソ)」は、家事に関する投稿で人気のインスタグラマーを「kurassoファミリー」としてアンバサダーに任命し、UGCの投稿を依頼しています。またInstagramの公式アカウントでは、kurassoファミリーの投稿をフィードやまとめで紹介し、実際の製品への導線を引いています。

UGCを利用する際の注意点
コンテンツの使用許諾
UGCを企業サイトに掲載する場合は、事前に著作権を有するユーザーから必ず許諾を得ましょう。UGCの著作権は原則として投稿したユーザーに帰属するため、無断使用は著作権侵害にあたります。
また、UGCを掲載する際は、適切なクレジット表記を行いましょう。クレジットの表示は投稿者への敬意を示すだけでなく、他のユーザーの参加を促し、UGC創出を活性化する効果もあります。
著作権の保護
UGCは企業と直接関係のない第三者による創作物であるため、投稿内容自体が著作権を侵害していないかの確認が不可欠です。たとえば、他ユーザーの投稿を無断転載しているケースや、既存コンテンツの二次創作、権利のない画像・音楽を使用している場合など、投稿時点で著作権に違反している可能性があります。UGCを活用する際は、内容に問題がないか事前に精査したうえで使用しましょう。
プライバシーの保護
UGCには、ユーザー本人や関係者の個人情報が含まれる場合があります。特に、顔写真や実名をそのまま共有すると、プライバシー侵害に加担するおそれがあります。コンテンツに取り扱いに配慮すべき個人情報が含まれていないか、あらかじめ確認しておきましょう。
情報の正確性の担保
UGCはユーザーによって作成されるため、誤った情報が含まれる可能性もあります。第一にコンテンツ内の情報が正確かを確認し、不正確な場合は訂正を依頼したうえで、正しい情報を周知しましょう。
法律の遵守
使用するUGCが、国や地域の法規制を遵守しているかを必ず確認しましょう。特に注意が必要なのが薬機法です。薬機法では、医薬品や医薬部外品、化粧品、医療機器などについて、製造方法や効能・効果に関する虚偽・誇大な表現を用いることが禁止されています。
違反となる表現の範囲は製品の種類によって異なるため、関連法令を確認し、必要に応じて専門家にチェックを依頼しましょう。
ネガティブコンテンツへの対応
ネガティブな内容を含むUGCでも、適切に活用できればかえって信頼性が高まる可能性があります。事実、アライドアーキテクツが2022年に実施した調査では、信頼できる口コミやレビューの特徴を3つ選択する設問で、「良くない点についても書かれている」をあげた人が41.2%にのぼりました。
批判的な投稿は、ユーザーが製品やサービスに強い関心を持っていることの裏付けでもあります。こうしたクレームにも迅速かつ丁寧に対応することで、企業姿勢への信頼が高まり、ブランド評価の向上につながります。
まとめ
ユーザー発信のコンテンツであるUGCは、消費者からの信頼性が高く、購買行動に大きな影響を与えます。UGCには、消費者・スタッフ・インフルエンサーによる3つのタイプがあり、それぞれの特性を理解して活用することで、さまざまなメリットを得ることができます。ユーザーの立場に応じた適切なアプローチを通して、UGCを獲得していきましょう。
またUGCは、あくまでも第三者による創作物です。使用する際は、著作権やプライバシーへの配慮を欠かさないことが重要です。ユーザーによる自発的な推薦や拡散は、企業にとって大きな価値を持ちます。効果的なマーケティング施策の一つとして、ぜひUGCを積極的に活用してください。
続きを読む
- インスタグラムでフォロワーをもっと増やす! 12の方法をご紹介
- インスタグラムを使ってお金を稼ぐ方法とは!?フォロワーが少なくても大丈夫!
- インスタグラムのハッシュタグ入門:人気のハッシュタグと使い方を紹介
- フォロワーを増やすインスタでおしゃれなプロフィールの書き方【完全ガイド】
- 【保存版】SNSマーケティングで使える日本と世界の記念日一覧
- ShopifyストアとPrintfulの接続&商品追加ガイド【簡単4ステップのネットショップ開業】
- 必読!越境ECに役立つShopifyアプリ特集(多言語・多通貨・海外配送編)
- 日本で人気のShopify アプリをご紹介!
- 「AnyFactory」を使ってオリジナルブランドを展開しよう!【アパレル・コスメ・雑貨などのデザイン・サンプル制作・商品生産を4つのステップで簡単に実現】
- 無料のSMSマーケティングをMessentで
UGCについてのよくある質問
UGCとは?
UGC(User Generated Content)とは、口コミやSNS投稿のように、ユーザー自身が作成・発信するコンテンツを指します。日本語では「ユーザー生成コンテンツ」と呼ばれています。
UGCとCGMの違いは?
ユーザーが制作し発信するUGCに対して、CGMはConsumer Generated Media(消費者生成メディア)の略で、UGCが投稿されるメディア(媒体)のことを指します。CGMには以下のようなものがあります。
- 口コミサイト:食べログ、アットコスメなど
- ナレッジコミュニティ:OKWave(オウケイウェイヴ)、Yahoo!(ヤフー)知恵袋など
- SNS:Instagram、Facebook、Xなど
- 動画共有サービス:Youtube、TikTokなど
- キュレーションサービス:NAVER(ネイバー)まとめ、FC2(エフシーツー)まとめなど
- ブログポータル:アメーバブログ、ココログなど
- 電子掲示板:2ちゃんねるなど
UGCを活用するメリットは?
- 信頼性の向上:ユーザーの生の声は、広告よりも信頼性が高い印象を与えられます。
- エンゲージメントの強化:ユーザーがコンテンツを生成することで、ブランドとの関わりが深まります。
- コストの抑制:自社でコンテンツを制作するコストを削減できます。
- 社会的証明:他のユーザーが製品やサービスを利用していることを示すことで、購入を検討している顧客に安心感を与えられます。
- 創造性の拡大:多様な視点やアイデアが集まるUGCをきっかけに、企業側が想定していなかった画期的な使用方法が発見されたり、製品・サービスの新たな価値やアイデアが生まれたりする可能性があります。
UGCを利用する際に注意すべきポイントは?
- コンテンツの使用許諾
- 著作権の保護
- プライバシーの保護
- 情報の正確性の担保
- 法律の遵守
- ネガティブコンテンツへの対応
文:Ryutaro Yamauchi





