B2BやB2Cを問わず、商取引において注文管理はビジネスの成果を左右する重要な要素です。
企業が事業を拡大していくと、通常の店舗販売やEC販売に加え、当日配送、ネット注文からの店舗受け取り、店舗在庫からの出荷など、さまざまな注文形態への対応が求められるようになります。
また、複数の販売チャネルや販売拠点を展開する企業にとって、全社レベルでの在庫管理は重要な課題です。在庫情報が正確でなければ、保有コストの増大や在庫切れ、販売機会の損失、物流上のトラブルなどにつながり、顧客満足度の低下を招く可能性があります。
こうした課題に対応するため、2024年にShopify(ショッピファイ)とマンハッタン・アソシエイツは、小売業向けのユニファイドコマースソリューションの提供に向けた提携を発表しました。
Shopifyのeコマースプラットフォームと、マンハッタンの注文管理を中心としたオムニチャネルソリューションであるManhattan Active Omni(マンハッタン・アクティブ・オムニ)を連携させることで、在庫、注文、支払い情報を両プラットフォーム間で同期でき、注文管理業務の効率化と、シームレスな顧客体験の提供が実現します。
本記事では、ShopifyとManhattan Active Omniの連携で利用できる機能や連携の仕組みを解説し、企業がビジネスをどのように強化できるのかを紹介します。

ShopifyとManhattan Active Omni連携による主な機能
在庫の同期
Shopifyで受け付けた注文情報が、全在庫データを管理するManhattan Active Omniに自動的に反映されます。これにより、在庫情報を常に最新の状態に保つことができます。また、Manhattan Active Omniで設定した更新条件に基づき、在庫情報はShopifyにも自動的に反映されるため、ECサイトを訪れた顧客はほぼリアルタイムの在庫状況を確認できます。
さらに、Manhattan Active Omniが提供する在庫セグメンテーション機能を利用すれば、Shopifyと連携する在庫を柔軟に管理できます。たとえば、可用在庫機能を使って卸売向けと小売向けで在庫を分けて管理し、状況に応じて相互に振り分けたり、一方の販売チャネル向けに一定量を確保したりすることが可能です。これにより、販売チャネルごとの適切な在庫配分を実現し、在庫切れのリスクを抑えられます。
受注情報の同期
顧客がShopifyで注文すると、連携されたManhattan Active Omniへ注文情報がシームレスに送信されます。受け取った注文情報をもとに、配送やフルフィルメントなどの後続処理が実行されます。
この連携により、Shopifyと受注管理システムを個別に連携するための開発負荷を大幅に削減できます。また、両システム間で注文情報の正確性と整合性を維持しやすくなり、安定した注文管理を実現します。
Shopify Webhookによるリアルタイム同期
Shopifyで注文の作成、キャンセルや削除、変更などのイベントが発生すると、Webhook(ウェブフック)で自動的に通知が送信されます。Manhattan Active Omniは、Webhookによって送信される注文データをもとに各注文を適切に処理し、両プラットフォーム間のデータ同期を維持します。これにより、注文受付から配送完了までの流れを一貫して追跡できるため、配送プロセスの透明性と運用効率の向上が可能になります。
支払いの確定と返金
Shopifyで開始された取引情報は同期され、Manhattan Active Omniで支払いサイクルの後続工程を管理できます。
Manhattan Active Omniは、Shopifyを含むすべての販売チャネルにおける支払いの確定と返金処理を管理します。Shopifyで支払い確定または返金処理が開始されると、Manhattan Active OmniはShopify GraphQL APIの「orderCapture」や「refundCreate」などのミューテーション(データを更新するためのAPI操作)を実行し、Shopify側の支払い処理を自動的に実施します。
GraphQL APIによる支払い処理の自動同期により、ShopifyとManhattan Active Omniの両方で正確な最新の支払い情報を維持できます。その結果、手動での照合作業を削減できるほか、データの不一致が発生するリスクも抑えられます。
Shop Pay
Manhattan Active Omniとの連携により、外部のコマースプラットフォーム経由で受け付けた注文でも、Shop Pay(ショップペイ)による決済を利用できます。
Shopifyが提供するShop Payコンポーネントを外部チェックアウトの決済方法として実装することで、Manhattan Active OmniとShopifyの統合された決済フローを利用できます。そのため、外部チェックアウトで注文した場合でも、Shopifyで注文した場合と同じ決済プロセスで支払いを完了できます。
ShopifyとManhattan Active Omniの連携フロー
在庫、注文、支払いに関するデータが両プラットフォーム間でどのように連携されるのか、それぞれの仕組みを図とともに解説します。
業務連携の概要図
下図は、ShopifyとManhattan Active Omni間の主な接続ポイントとデータの流れを示しています。各列の見出しは業務イベントを表し、枠内はそのイベントに関連する主な機能を表しています。
Manhattan Active Omniは全社レベルで在庫を管理し、最新の在庫情報をShopifyへ反映します。Shopifyはその情報をもとに販売可能な商品を表示し、顧客はほぼリアルタイムの在庫状況を確認できます。
また、Shopifyで受け付けた注文はManhattan Active Omniへ送信され、注文管理やフルフィルメントの処理が行われます。支払いの確定と返金については、両プラットフォーム間で双方向にデータを同期することで、常に整合性の取れた状態を維持します。

在庫同期フロー
下図は、あらかじめ設定した在庫閾値(その数量を下回ったら発注すると設定した在庫数)をきっかけとして、Manhattan Active OmniからShopifyへ在庫情報を更新する流れを示しています。
設定した在庫閾値に達すると、Manhattan Active OmniはShopify GraphQL APIの「inventorySetQuantities」ミューテーションを実行し、Shopifyの在庫情報を自動的に更新します。これにより、ECサイトには最新に近い在庫状況が反映されます。

決済フロー
下図は、Shopifyで受け付けた注文や返金データをもとに、Manhattan Active Omniが支払いの確定や返金処理を実行し、その結果をShopifyへ反映する流れを示しています。
注文時は、Shopifyで受け付けた注文情報をもとに支払い確定処理が開始され、返金時はShopifyからの返金リクエストに応じて返金処理が実行されます。これらの処理はGraphQL APIを通じて同期されるため、両プラットフォームで正確な支払い情報を維持できます。

マンハッタンの注文管理を活用するメリット
フルフィルメントの最適化
Manhattan Active Omniは、配送先までの距離や配送コスト、配送条件に加え、店舗・倉庫・3PLを含む全拠点のリアルタイム在庫をもとに、注文ごとに最適な出荷場所を自動で選択します。また、受注からフルフィルメントまでを一元的に管理し、設定したルールや約束可能在庫(ATP)に基づいて注文処理を最適化します。これにより、配送コストの削減や納期短縮に加え、業務効率と収益性の向上を実現できます。
正確な在庫情報によるコンバージョン率の向上
ShopifyとManhattan Active Omniの連携により、顧客に最新の在庫状況を表示するとともに、各販売チャネルやフルフィルメント拠点から適切に商品を出荷できます。正確な在庫情報と確実な注文処理によって安心して購入できる環境を提供できるため、コンバージョン率の向上や売上の拡大につながります。
統合作業の効率化
ShopifyとManhattan Active Omniの連携には、あらかじめデータマッピングやAPI、ビジネスロジック、ワークフローが組み込まれています。そのため、個別にシステムを連携する場合と比べて、開発やテスト、実装にかかる工数を抑えながら、両プラットフォームを短期間で導入できます。
事業の成長に対応する拡張性
Manhattan Active Omniは、企業の成長に合わせて拡張できるモジュール構造を採用しています。カスタマーサービス機能や倉庫管理ソリューションなどを必要に応じて追加できるため、事業規模や業務要件の変化にも柔軟に対応できます。

Shopifyとマンハッタンの注文管理統合を成功させるポイント
注文管理に関する指標を活用する
注文管理の評価指標として、配送と受取時間、サービスレベル、在庫の正確性、条件別の取扱い可能数量(販売チャネル別、配送方法別、配送センター別、販売代理店別)などのデータを収集し分析しましょう。Manhattan Active Omniは各指標を分析できる便利なツールを提供しています。
- Fulfillment Insights(フルフィルメントインサイト):ダッシュボードで自社の注文管理の指標を業界標準と比較して分析できます。
- Postgame Spotlight(ポストゲームスポットライト):フルフィルメントのすべての工程やネットワークをリアルタイムで分析し、配送ルートの改善、在庫切れの防止、費用削減、人員配置など、フルフィルメント最適化の具体的な提案を行います。
フルフィルメントの目標を定める
セールスや業務運用の計画立案の一環として、フルフィルメントの目標を定めましょう。たとえば、注文処理の費用、在庫の正確性、在庫不足や在庫切れの防止などについての目標を各販売チャネルと配送地域ごとに決定します。これは、自社の強みや販売機会を知ることにも役立ちます。
業務プロセスとデータ統合を効率化する
業務プロセスの効率化とデータ統合を進め、注文の追跡や管理のプロセスを最適化し、手作業や介入が必要になる部分を最小限に抑えます。さらに、データの収集と配信を細分化してレポートや分析の精度を向上させることで、組織が確かな情報に基づいた意思決定を下せるようになり、顧客満足度の向上につなげられます。
注文管理データを継続的に改善へ活用する
プロセスの監視と継続的な改善を行いましょう。注文管理システムには、受注から配送、決済までのさまざまなデータが蓄積されます。配送時間や在庫精度、フルフィルメントの処理状況などを継続的に分析することで、運用上の課題を早期に把握し、改善につなげられます。データに基づいて注文管理プロセスを見直すことで、業務効率と顧客満足度を継続的に高めることができます。
まとめ
ShopifyとManhattan Active Omniを連携することで、在庫や注文、決済情報をリアルタイムに同期し、企業全体の注文管理を効率化できます。さらに、リアルタイム在庫の可視化や注文ごとに最適化されるフルフィルメントなどの機能により、配送コストの削減や納期短縮、顧客体験の向上にもつながります。
注文管理の効果を最大限に引き出すには、単にシステムを統合するだけでなく、適切な指標の分析や目標設定、業務プロセスの見直しなど、継続的な運用改善も欠かせません。これにより、変化する顧客ニーズや販売チャネルの拡大にも柔軟に対応できる注文管理基盤を構築できます。




