マーケティング戦略では、効果的だった戦略と、期待していたほどの効果が得られなかった戦略を特定し、把握することが重要です。継続すべき手法と改善すべき点を明確にすることで、将来的な戦略設計に役立てることができます。
マーケティング分析を行うことで、顧客や市場のニーズ、競合の動向、有効な施策などを知ることができ、次に取るべき戦略の判断材料として活用できます。この記事では、マーケティング分析に欠かせないフレームワークや分析のコツ、便利なツールについて、わかりやすく紹介します。

マーケティング分析とは
マーケティング分析とは、成果につながるマーケティング戦略を立案するために、顧客や市場、トレンド、ニーズなどのあらゆるデータを収集し、分析することです。ECサイトやメール、SNSなど、さまざまなマーケティングチャネルからデータを集め、現状の把握と今までの施策の効果を分析します。効果が得られたマーケティング施策を特定するとともに、競合分析やトレンド予測といったデータを活用することで、ROI(投資利益率)を最大化するマーケティング施策の立案を目指します。

マーケティング分析が重要な理由
差別化が図れる
拡大を続けるEC市場において、マーケティング分析に基づいた戦略立案は、競合他社との差別化に必要不可欠です。データを集めて顧客の動向やニーズを深く知ることで、ターゲット層へより効果的にアピールできるようになります。コンバージョン率の高い広告やランディングページを分析することで、顧客の興味関心や、効果的なキャッチコピー、デザインを把握することができ、有料広告を出稿する際の戦略にも活用できるでしょう。例えば、サステナビリティに関する広告の効果が高いことがわかれば、他のチャネルでの広告やSNS投稿でもサステナブルな取り組みを取り上げることにより、さらなる相乗効果が期待できます。
効率的な予算策定が可能となる
マーケティング分析に基づいて有効な戦略を特定することで、効果的な予算策定が可能となります。Google(グーグル)広告やFacebook(フェイスブック)広告、インスタ広告などの施策のうち、売上につながった広告と、思うような効果が得られなかった広告を特定します。ウェブ解析やSNSのインサイト機能のデータを分析すれば、コンバージョン率の高いページや、拡散されやすいコンテンツを特定することも可能です。これらの情報をもとに、成果の出る施策に予算とマーケティング活動を集中させることで、投資を最大限に生かすことができるでしょう。
具体的には、ECサイトの流入元やターゲット、コンテンツ、クリックされたリンクといった特定の条件をもとにグループ化を行います。これにより、セグメントごとの行動やマーケティング効果が明確になり、広告だけでなく、コンテンツマーケティングの具体的な成果も把握できるようになります。効果が薄い施策は停止や改善を行い、効果が高い施策への投資を増やすことで、パフォーマンスの最大化が実現します。
顧客体験向上を目指せる
マーケティング分析により顧客のニーズや興味関心、悩みを知ることで、買い物時の顧客の要望に応えられるようになり、顧客体験(CX)の向上を目指せます。例えば、買い物カゴに商品を入れたまま離脱するカゴ落ちの対策として、カゴ落ちメールの送信とリターゲティング広告の配信を行っているとします。コンバージョン率や購入率が高いマーケティング手法ほど「顧客にとって利便性が高い」と判断できるため、そのデータを活用することで、よりスムーズな商品閲覧や購入へと誘導できるようになります。
さらに、マーケティング分析はターゲット顧客が好むデザインやキャッチコピー、機能などを知ることにもつながるため、顧客セグメンテーションに合わせたパーソナライズマーケティングも可能となります。分析結果に基づいてECサイトやSNS、広告を最適化していくことで、ターゲット顧客の期待に応える顧客体験の向上につながります。

マーケティング分析の主な構成要素
データ収集
マーケティング分析の第一歩は、データを収集することです。マーケティング戦略の立案に重要なデータは、以下の情報源から収集します。
- ゼロパーティデータ:顧客がクイズへの回答やレビューなどを通じて直接提供してくれる情報です。
- ファーストパーティデータ:自社が保有する顧客データのことで、商品購入時や会員登録時の情報やウェブサイトのアクセス解析、閲覧履歴、SNSのインサイトなどが含まれます。
- セカンドパーティデータ:他社が保有する顧客データのことで、他社から購入したり、パートナー企業と共有したりします。
- サードパーティデータ:市場調査会社などの専門機関による消費者関連の調査データや、公的機関が公表している統計データなどが該当します。調査会社の情報は有料の場合がありますが、公的データは誰でもアクセスができるものが主流です。
アトリビューションモデル
アトリビューションとは、顧客とのタッチポイントやチャネルでの広告の貢献度を評価する仕組みのことです。
- ラストクリックモデル:最後にクリックされた広告と、それに対応するキーワードを評価します。
- データドリブンモデル:過去のデータをもとに、コンバージョンの貢献度を割り当てる仕組みで、機械学習を用いて自動算出されます。
ファーストクリックモデル、線形モデル、減衰モデル、接点ベースモデルのサポートは終了しており、これらを使用していた場合には初期設定でデータドリブンモデルが適用され、必要に応じてラストクリックモデルに切り替えることも可能です。
UTMパラメータ
UTMパラメータとは、URLの末尾に追加できる文字列のことです。UTMパラメータを設定することで、検索エンジンや解析ツールが流入経路を認識することができるようになります。一般に、UTMパラメータは以下のように記載されます。
https://xjp112.xb-11.com/jp?utm_source=facebook&utm_medium=cpc&utm_campaign=summer_sale_2026&utm_term=ecommerce_platform&utm_content=banner_blue_typeA
UTMパラメータは、URLの末尾に「?utm_」から始まる文字列で構成され、「&」でつなぐことで複数のパラメータを一つのURLで同時に使用することも可能です。
主なパラメータの種類と役割は以下の通りです。
- utm_source:流入元を特定します。検索エンジンやSNS、ウェブサイトのドメインなどが該当します。
- utm_medium:流入元の広告タイプを特定します。「utm_medium=email(Eメールからの流入)」「utm_medium=cpc(クリック課金型広告からの流入)」「utm_medium=display(ディスプレイ広告からの流入)」などが該当します。
- utm_campaign:キャンペーン内容を識別するためのもので、独自のキャンペーン名を自由に指定できます。
- utm_term:キーワードを識別するためのもので、主に有料広告のキーワードのトラッキングに活用されます。
- utm_content:広告のコンテンツを識別するためのものです。デザインや配置によるクリック率の違いの比較や、A/Bテストの際に使用されます。
先ほどのUTMパラメータの例では、流入元がFacebook(フェイスブック)、広告タイプはクリック課金型広告、キャンペーン名は2026年サマーセール、キーワードはECプラットフォーム、コンテンツは青いバナーのAパターンとなります。このように、「&」を使って複数のパラメータをつなぐことができます。

マーケティング分析の5つのポイント
1. 追跡すべき指標を特定する
ECサイトのKPIとなる、追跡すべき指標を特定します。マーケティングにより達成したい目的やビジネスの形態、採用するマーケティング戦略によって、追跡すべき指標は異なります。eコマースでは、主に以下のような指標がKPIとして設定され、マーケティング分析での重要な指標となります。
2. 質の高いデータを収集する
質の高いデータを収集することで、マーケティング分析の精度が高まります。自社で行ったマーケティングキャンペーンや広告の効果を追跡するためには、UTMパラメータなどのトラッキングパラメータを活用することで、より正確なデータの取得が可能となります。
キャンペーンを実施した際のデータは、将来的なキャンペーンの見直しや戦略の立て直しに役立ちます。広告出稿先のインサイト情報だけでは、実際のデータとのズレが発生するリスクがあります。パラメータやサイト解析を活用し、流入元や使用キーワード、コンテンツだけでなく、自社サイトを訪れてからの行動まで把握できれば、ユーザーをグループ化して効果を分析できるようになります。
3. 競合他社のデータと比較する
マーケティング分析において、競合他社のデータと比較し自社の強みや差別化ポイントを特定することも重要です。ベンチマーク(指標)と比較することで、自社のマーケティング戦略が効果的であったかを客観的に判断することができます。
さらに、自社のデータだけで分析を行うのではなく、競合他社のデータと見比べることで、自社の立ち位置を明らかにすることもできます。競合他社が検索上位を獲得しているキーワードを知ることで、戦略的なSEO対策を行うことも可能となるでしょう。競合のデータを取得して比較できる代表的なツールには、Ahrefs(エイチレフス)やSimilarweb(シミラーウェブ)、Semrush(セムラッシュ)などがあります。
4. 外部データを活用する
マーケティング分析では、外部データを活用した分析が欠かせません。ゼロパーティデータやファーストパーティデータの分析に集中するあまり、分析結果に市場の動向が加味されないリスクが生じるためです。
セカンドパーティデータやサードパーティデータをマーケティング分析に活用することで、内部データ分析と比較したり、補完したりすることができます。無料の外部データだけでなく、必要に応じて有料のものを購入することも検討しましょう。
5. 予測分析を活用する
過去のデータに基づいて今後の市場動向を予測する「予測分析」は、マーケティング分析においても重要な要素です。過去と現在のデータからパターンを特定し、将来的な動向を予測したり、統計学的なアプローチや機械学習を用いてトレンドを特定したりすることが可能です。
マーケティング分析における予測分析の例として、パーソナライズ化されたレコメンデーションが挙げられます。過去データをもとに、「スマホケース購入時に充電器を購入する顧客が多い」ことがわかれば、これらをセットにし、バンドル価格で販売することができます。このような施策は、平均客単価やコンバージョン率の向上につながるだけでなく、商品を別々に検索する手間が省けるため、顧客体験の向上にも効果的です。

マーケティング分析に活用できるフレームワーク
3C分析
3C分析は、自社のビジネスを取り巻く以下3つの環境要因を分析するフレームワークです。自社の強みや弱みを分析し、競合優位性を明確化するためなどにも活用されます。
- Customer(顧客・市場):顧客のニーズや消費行動、市場動向や成長性
- Competitor(競合):競合他社の市場シェアや強み、弱み
- Company(自社):自社の市場シェアや強み、弱み、
4C分析
4C分析は、顧客の視点に立って商品やサービスを分析するために役立つフレームワークです。顧客のニーズを特定し、商品の提供方法に焦点を当てることで、効果的なマーケティング戦略立案を可能にします。
- Customer Value(顧客価値):商品やサービスに対する顧客の期待や価値
- Cost(コスト):商品やサービスの価格と費用に対する顧客の納得度
- Convenience(利便性):商品やサービスを購入するまでのプロセスや決済手続きの利便性
- Communication(コミュニケーション):商品やサービスの情報収集の容易さ
4P分析
4P分析は、企業の視点からマーケティング施策を立案する際に活用されるフレームワークで、商品、価格、場所、販促方法の4つの要素で構成されています。企業が制御できる要素で構成されており、4C分析と併用されることも少なくありません。
- Product(商品):提供する商品やサービス
- Price(価格):販売価格
- Place(流通):販売場所や流通経路
- Promotion(販促方法):効果的な販促方法
7P分析
7P分析は、4P分析に「People(人員)」「Process(プロセス)」「Physical Evidence(物理証拠)」の3つの要素を加えたフレームワークです。顧客の購入体験や信頼獲得といった視点を加えたもので、サービスや商品、ブランドの価値の最大化を目指せます。
PEST分析
PEST分析は、企業の外部環境を分析するためのフレームワークです。政治動向や法律改正、トレンドなどの動向を把握することで、リスクを回避するための対策を講じることができます。
- Politics(政治的視点):政治動向や法規制、規制緩和や強化、外交関係
- Economy(経済的視点):経済成長、金利、景気動向
- Society(社会的視点):人口動態、世論、社会的価値観、トレンド
- Technology(技術的視点):デジタル化、AI、再生可能エネルギー
SWOT分析
SWOT分析は、企業を以下の4つの内部環境と外部環境から分析するフレームワークです。内部環境、外部環境の強みと弱みを把握し、問題解決や具体的な戦略立案に役立てられます。
- Strength(強み):自社の強みや商品およびサービスの長所
- Weakness(弱み):自社の弱みや商品およびサービスの短所
- Opportunity(機会):自社に好影響を与える外部環境
- Threat(脅威):自社に悪影響となる外部環境
VRIO分析
VRIO分析は、企業の内部環境を分析するフレームワークです。以下4つの視点から、自社の経営資源を分析し優位性を明らかにします。
- Value(価値):企業の資金や技術、人材などの価値
- Rarity(希少性):技術の希少性や競合の少なさ
- Imitability(模倣可能性):競合他社による模倣の容易さ
- Organization(組織):組織の健全性や柔軟性などの状態
ファイブフォース分析
ファイブフォース(5フォース)分析は、競合優位性や脅威となる要因を把握するためのフレームワークで、以下の競争要因に着目します。
- 業界内の競争:直接の競争相手となる競合他社や商品、サービス
- 業界の新規参入者の脅威:業界に新規参入する競合他社や商品、サービス
- 代替品の脅威:自社商品の代替品となる商品、サービス
- 顧客(買い手)の交渉力:買い手の交渉力が強い場合、値下げ交渉等で収益性が高めにくくなる
- サプライヤー(売り手)の交渉力:売り手の交渉力が強い場合、仕入れ価格やコストが高くなる
それぞれの要因の影響を分析することで、新規参入におけるビジネスチャンスの有無や、既存事業の見直しによる収益向上の可能性を判断することが可能です。
バリューチェーン分析
バリューチェーン分析は、商品の生産から販売までの過程において、価値を生み出しているポイントを特定するためのフレームワークです。製造、販売、物流、マーケティングなどの「主活動」と、それらを支える人事、財務、会計、インフラなどの「支援活動」の2つに大別して分析を行います。各過程で生まれる付加価値や発生するコストを把握することで、付加価値を最大化するためのポイントや、改善点を特定することができます。
STP分析
STP分析は、マーケティング戦略を最適化するためのフレームワークです。以下の3つの段階に沿って市場を分類することで、競合との差別化ポイントを明確にできます。
- Segmentation(セグメンテーション):人口統計的要因や心理的要因、購買行動などで市場を細分化する
- Targeting(ターゲティング):セグメンテーションで細分化した市場のうち、自社の強みを最も活かせるグループを選定する
- Positioning(ポジショニング):ターゲティングに合わせて、競合優位性が得られる自社の立ち位置を明確化する
AIDMA分析
AIDMA(アイドマ)分析とは、顧客が商品やサービスの購入に至るまでの以下のプロセスに着目したフレームワークです。
- Attention(注目):商品やサービスの認知と着目
- Interest(興味):商品やサービスへの興味関心
- Desire(欲求):商品やサービスへの購入欲求
- Memory(記憶):商品やサービスが記憶に残る
- Action(行動):商品やサービスの購入
自社で実施する施策が、どの段階のユーザーをターゲットにアプローチしているものかを明確にすることは、販促活動を最適化するうえで重要です。
AISAS分析
AISAS(アイサス)分析は、AIDMA分析を近年の消費者行動に合わせて進化させたものです。AIDMA分析における「Desire」と「Memory」の代わりに、顧客がインターネットで商品情報を検索し理解を深める「Search(検索)」が入り、「Action」のあとにはSNSで感想や利用体験を発信し、共有する「Share(共有)」が入ります。
ファネル分析
ファネル分析とは、顧客が商品やサービスを認知してから購入に至るまでの流れをファネル(漏斗)に例えて分析する手法です。主に以下の4つの段階に分けられ、段階が進むほど離脱が進み、ユーザー数は減少します。
- 認知
- 興味や関心
- 比較や検討
- 購入
マーケティングファネルのどの段階で顧客が離脱しているかを分析し、施策の改善を図ります。ECのファネル分析においては、KPIに着目して行う方法や、キャンペーンごとにファネルの段階に分類して分析する方法、アトリビューションを基準に分析する方法などがあります。

マーケティング分析に活用できるツール
Shopifyアナリティクス
Shopify(ショッピファイ)アナリティクスは、Shopifyに標準搭載されている分析機能です。ECサイトが必要とする集客や行動、財務に関するさまざまなレポートが組み込まれているため、即座にパフォーマンスを把握し、迅速な改善対応が可能になります。また必要に応じて拡張することもでき、ビジネスの規模や目標に合わせてカスタマイズができます。
Googleアナリティクス
Googleアナリティクスは、ECサイトのウェブ解析において広く活用されているツールです。eコマース分析に必要な機能が充実しており、流入元や使用デバイス、居住地などのデータからのフィルタリングも可能です。
Triple Whale(英語)
Triple Whale(トリプルホエール)は、さまざまなプラットフォームからのデータを一元管理できるマーケティング分析ツールです。Triple WhaleのShopifyアプリを使用すれば、Shopifyアナリティクスに、FacebookやGoogle広告、Amazon(アマゾン)、Googleアナリティクスなどのデータを同期させることも可能です。
まとめ
マーケティング分析は、効果的なマーケティング戦略を立案するために役立ちます。さまざまなマーケティングチャネルからデータを集めて適切に分析することで、競合他社との差別化を図れるだけでなく、予算策定の効率化や顧客体験の向上にも効果的です。
マーケティング分析を行う際には、まず追跡すべき指標(KPI)を特定することが重要です。目標となるKPIを設定したら、ツールも活用しながら質の高いデータ収集を行いましょう。情報収集の際には、社内の内部データだけでなく、セカンドパーティやサードパーティなどの外部データも活用することで、より包括的な分析が可能となります。
さらに、定評のあるるフレームワークや分析ツールを活用することで、最適なマーケティング戦略の立案が実現します。Shopifyには、標準搭載されているShopifyアナリティクスだけでなく、アプリを追加してマーケティング分析を一元管理することも可能です。効率的なマーケティング分析のために、ぜひ活用してみてください。
マーケティング分析に関するよくある質問
マーケティング分析とは?
マーケティング分析とは、顧客や市場、トレンド、ニーズなどのあらゆるデータを収集し、分析することです。成果につながるマーケティング戦略を立案するために、各マーケティングチャネルからデータを集め、より効果的なマーケティング施策の立案を目指します。
マーケティング分析のポイントは?
- 追跡すべき指標を特定する
- 質の高いデータを収集する
- 競合他社のデータと比較する
- 外部データを活用する
- 予測分析を活用する
マーケティング分析に活用できるツールは?
- Shopifyアナリティクス
- Googleアナリティクス
- Triple Whale
マーケティング分析で用いられるフレームワークの代表例は?
マーケティング分析に活用できるフレームワークのうち、特に押さえておきたい代表的なフレームワークはこちらです。
- 3C分析
- 4C分析
- 4P分析
- 7P分析
- PEST分析
- SWOT分析
- STP分析
- ファネル分析




