労働人口の減少に伴い、多くの産業で人手不足が深刻化しています。特に中小企業では、限られた人材をいかに効率的に活用するかが重要な経営課題となっており、その解決策として注目されているのがバーチャルアシスタントです。
本記事では、バーチャルアシスタントに依頼できる業務内容や、おすすめのサービスなどを紹介します。

バーチャルアシスタントとは
バーチャルアシスタントとは、企業のさまざまな業務をオンライン上で支援するサービスやスタッフです。AIを活用したタイプから、人間が対応するタイプまでさまざまな形態があり、企業の定型業務や事務作業を効率的に代行してくれます。
バーチャルアシスタントはフリーランサーや専門性の高い職種とは役割が異なります。専門スキルを提供するフリーランサーなどと異なり、バーチャルアシスタントは、日々の定型業務を安定して遂行する人材です。
バックオフィス業務やマニュアル化された作業をバーチャルアシスタントに委託し業務改善することで、社内の人材をコア業務に集中させられ、生産性が高まって売上向上にもつなげられます。

バーチャルアシスタントに任せられること
バーチャルアシスタントには、営業や商品開発といった利益に直結するコア業務を支える、秘書や経理などのノンコア業務や特定の事務作業を依頼できます。例えばECサイトであれば、商品ページの更新といった業務をサポートできます。
具体的には、以下のような業務をバーチャルアシスタントに任せられます。
- 営業事務:営業先リストの作成、見積書・請求書作成、受注・発注管理、データ入力、営業資料作成、アポイント調整
- 人事・採用・労務:求人票の作成、求人媒体の原稿作成、スカウトメール送信、応募者対応、面接日程の調整、勤怠管理、給与計算
- 経理:記帳、会計ソフトへの入力、経費精算入力のチェック、請求書・領収書の作成、仕訳伝票の作成
- 秘書・総務:スケジュール管理、問い合わせ対応、予約手配、議事録作成、メール対応
- マーケティングの補助:SNS運用、メルマガ運用、広告運用、ブログなどのライティング、レポート作成
- ECサイト:商品登録、在庫管理、売上管理、商品写真の加工、SEOライティング、デザイン、ページ作成、カスタマーサポート

バーチャルアシスタントを雇うべきタイミング
即戦力が必要な時
急な退職や案件対応で人手が不足した場合でも、バーチャルアシスタントなら数日で人材を確保できます。
一方、社員を新規採用する場合は、求人掲載から選考・採用までに時間を要し、中途採用では一般的に応募から採用決定まで2〜3カ月かかると言われています。
人件費を抑えたい時
バーチャルアシスタントは求人広告費などの採用コストや福利厚生費が不要で、利用料金のみで活用できるため、人件費を抑えられます。さらに、無料トライアルや返金保証を提供しているサービスもあり、ミスマッチによる採用コストを抑えることもできます。
例えば、中堅レベルの人材を直接雇用または人材派遣で採用した場合と比較すると、バーチャルアシスタントを活用することで月々35〜40%程度のコスト削減が可能だというデータがあります。
特定のスキルを持つ人材が必要な時
バーチャルアシスタントを活用することで、必要なスキルやノウハウを持つ人材を、必要なタイミングで柔軟に確保できます。
例えば、ECサイトのコンテンツ更新やデザイン調整などは、ウェブ分野に特化したバーチャルアシスタントに任せることが可能です。
バーチャルアシスタントを雇うべきでない場合
プロセスや業務内容の整理ができていない場合
バーチャルアシスタントに依頼する業務は、細かく整理し、管理しやすい状態にしておくことが大切です。業務プロセスや依頼内容が曖昧なままだと、指示が伝わりにくく、期待した成果が得られない可能性があります。
専門性の高い業務を依頼したい場合
マーケティング戦略の立案など、専門的な知識や経験が求められる業務は、その分野で実績のあるフリーランサーや代理店への業務委託を検討しましょう。
例えば、Shopify Partnersには、Shopifyに精通したフリーランサーや代理店が多数在籍しています。
自動化が可能な場合
インテリジェントオートメーションで自動化できる業務は、バーチャルアシスタントに依頼する場合とのコスト比較を行うことが重要です。
例えば、メール配信の自動化、マーケティングオートメーションなどで対応できないか検討してみましょう。
おすすめのバーチャルアシスタントサービス
HELP YOU
HELP YOU(ヘルプユー)は、営業事務や総務だけでなく、マーケティングや広報など、幅広い業務に対応したバーチャルアシスタントを提供しています。
さらに、人間の担当者が行っていた作業を自動化する、RPA(事務作業を自動化するソフトウェアロボット技術)やAIを活用した業務効率化もサポートしています。また、最短3日でアシスタントをアサインすることが可能です。
- 対応業務:営業事務、秘書・総務・翻訳、経理、人事・労務・採用、マーケティング、広報ECサイト運営
- 料金プラン:チームプラン(担当ディレクターが必要なスキルを持つアシスタントを編成)、専属プラン(1名の専属アシスタントが担当)いずれも月30時間で月額15万円(税別)
- 契約期間:6カ月単位
- 導入実績:累計900社以上、継続利用率98%
- 対象:法人のみ
- セキュリティ対策:プライバシーマーク取得
- こんな方に最適:AIによる高精度な事務処理と、専門スキルが求められる業務を中長期的に継続して依頼したい方
フジ子さん
フジ子さんは、契約時間内で一般的なアシスタント業務から英語翻訳、デザインといった専門業務まで、必要に応じて柔軟に依頼できるバーチャルアシスタントサービスです。1案件を複数名のアシスタントが担当するチーム制を採用しており、業務が属人化しにくい点も特徴です。
- 対応業務:採用、秘書、EC運用代行、WEB/デザイン、営業、マーケティング、翻訳
- 料金:20時間で月額65,560円、30時間で月額97,350円、50時間で月額130,000円(税別)1週間の無料トライアルあり。
- 契約期間:1カ月単位
- 導入実績:累計2,000社以上
- 対象:法人および個人
- セキュリティ対策:プライバシーマーク取得、ISO/IEC(Iniformation Security Management)取得
- こんな方に最適:一般的な事務作業から専門スキルを要する業務まで、自社の状況に合わせて必要な業務を、柔軟かつ期間限定で低コストに依頼したい方
i-STAFF
i-STAFF(アイスタッフ)は、女性スタッフを中心に多様な専門スキルを持つ人材が揃っており、事務・秘書業務などのバックオフィス業務を1つの窓口で依頼できます。必要に応じてオフラインでの出社勤務にも対応可能です。
- 対応業務:秘書、経理、ウェブサイト運用、人事、営業アシスタント
- 料金:ライトプラン月額114,000円、ベーシックプラン月額93,000円、プレミアムプラン月額81,000円(税別)
初回は無料トライアルで3時間のバーチャルアシスタントを体験可能、返金保証付
- 契約期間:ライトプラン3カ月、プランベーシックプラン6カ月、プレミアムプラン12カ月
- 導入実績:累計導入社数530社以上、契約継続率96%以上
- 対象:法人および個人事業主
- セキュリティ対策:プライバシーポリシーの徹底
- こんな方に最適:ノンコア業務の人材不足をオンラインとオフラインのいずれかで解消したい方

バーチャルアシスタントの選び方
バーチャルアシスタントを選ぶ際は、以下の項目を確認するようにしましょう。
業務の対応範囲
将来的に発生し得る業務も視野に入れて、バーチャルアシスタントが対応可能な業務内容を確認しましょう。
例えば、ECサイトの商品登録のみを依頼した場合でも、後に受注管理や在庫管理など、関連する業務が必要になることがあります。
利用料金
バーチャルアシスタントは継続的に依頼することになるため、自社が負担できる料金プランを選ぶことが重要です。
料金プランは月額固定制が一般的で、相場は月額8〜12万円前後(実働約30時間)です。契約プランに応じて稼働時間が決まり、毎月定額料金を支払う仕組みがほとんどですが、業務内容によって料金が変動する従量課金制のサービスもあります。
無料トライアルを活用したり、短期契約プランやライトプランから導入を始め、自社に最適なバーチャルアシスタントかどうかを見極めたりすることも重要です。
導入実績
どのような企業と、これまでに何件の取引実績があるのかを確認しましょう。特に、自社と同業種の企業が利用している場合、そのサービスには業界特有の知識やノウハウが蓄積されている可能性が高く、安心して依頼できます。
また、多くのバーチャルアシスタントサービスのサイトでは、事例インタビューが掲載されています。自社と近い業種・規模の事例を読んでおくと、導入後のイメージがつかみやすく、サービス選定の参考になります。
サービス継続率
サービス継続率の高さは、クライアントからの信頼度や満足度の高さを示す重要な指標です。特に、自社と同業種の企業が継続して利用している場合、そのサービスには業界特有の知識やノウハウが蓄積されている可能性が高く、安心して依頼できます。
セキュリティ対策
バーチャルアシスタントに業務を依頼する際は、自社や顧客情報を外部に渡すことになるため、情報漏洩を防ぐうえでもセキュリティ体制の確認が重要です。例えば、プライバシーマークなど第三者機関による認証があるサービスは、一定のセキュリティ基準を満たしているため安心です。
また、担当者にアシスタントの作業環境について確認することも有効です。在宅勤務の場合は、第三者のいないスペースで作業しているか、業務専用アカウントを使用しているかを確認しましょう。
オフィス勤務の場合は、入館時にセキュリティチェックが行われているか、オフィススペースが適切に施錠されているかを確認すると安心です。
バーチャルアシスタントを有効活用するコツ
課題を明確にする
タイムマネジメントに苦労している、ワークライフバランスを整えたいなど、どのような課題を解決したいのかを言語化し、明確にします。
以下のように具体的に考えてみましょう。
- 営業事務に時間がかかり、新規開拓ができていない
- 総務が経理を兼任していて、業務負荷がかかっている
- ブログの更新まで手が回らず、情報が古くなっている
業務内容を棚卸する
解決したい課題に基づいて、バーチャルアシスタントに依頼したい業務内容をリスト化し、優先順位をつけます。業務内容を棚卸する際は、以下の点を確認しましょう。
- 現在、誰がどの業務を担当しているのか
- 各担当者が、その業務にどれくらいの時間を費やしているのか
- 業務が定例化されているかどうか
- マニュアルがない場合、作成が可能か
- オンラインで完結できる業務か、または一部オフライン作業が必要か
社内体制を整える
バーチャルアシスタントとスムーズに連携できるよう、業務効率化ツールなどを活用して社内体制を事前に整えます。
- 情報共有ツール:Dropbox(ドロップボックス)やTSUNAGU(ツナグ)などの共有ツールを活用し、顧客リストや帳票など、業務に必要な情報を共有できる体制を整えます。
- コミュニケーションツール:Slack(スラック)などのビジネス向けツールを活用することで、やり取りを効率化できます。
- タスク管理ツール:Asana(アサナ)やTrello(トレロ)のようなタスク管理ツールを導入すると、バーチャルアシスタントとのやり取りが整理され、重要なタスクや工程の見落としを防止できます。
- 担当者の選定:バーチャルアシスタントとの窓口担当を明確にし、業務指示や進捗確認をまとめて管理できる体制を整えます。
まとめ
バーチャルアシスタントは、さまざまな業務をオンラインで補助してくれるサービスやスタッフで、有効活用することで生産性向上やワークライフバランスの改善につなげられます。
バーチャルアシスタントを導入する際は、まず社内の課題や業務フローを明確にし、依頼すべき業務を棚卸したうえで事前準備を行うことが重要です。
さらに、バーチャルアシスタントを選ぶ際は、料金だけでなく、実績や自社の課題解決につながるノウハウを持っているかどうかを見極めるようにしましょう。無料トライアルを活用するなど段階的に導入し、自社に最適なバーチャルアシスタントかどうかを確認することも有効でしょう。
バーチャルアシスタントに関するよくある質問
バーチャルアシスタントのコストはどのくらい?
バーチャルアシスタントのコストは、月額8〜12万円前後(実働約30時間)が目安です。契約プランに応じて稼働時間が決まり、毎月定額料金を支払う仕組みが大半ですが、業務内容によって料金が変動する従量課金制のサービスもあります。
バーチャルアシスタントを活用した事例は?
- ユニヴァ・ペイキャスト:決済代行サービスUnivaPayでは、新規申込店舗の審査業務として発生していた月465時間のノンコア業務をバーチャルアシスタントに依頼した結果、コア業務である処理件数が月300件から600件へと倍増しました。
- PRONI:PRONIアイミツのビジネスマッチング事業では、市場調査や企業リサーチをバーチャルアシスタントに任せることで工数を50%削減し、削減分を他業務へ再配分できました。
人間のバーチャルアシスタントとAI型のバーチャルアシスタントの違いは?
人間のバーチャルアシスタントは、リモートで業務をサポートする専門スタッフです。柔軟な判断やクリエイティブな業務、対人コミュニケーションが重要なタスクに強みがあります。
これに対し、AI型のバーチャルアシスタントは、NLP(自然言語処理)や音声認識、機械学習を用いて質問への応答やタスクの自動化を行う高度なコンピュータープログラムです。大量・定型の問い合わせ対応や24時間の一次応答、データ照合などの繰り返し業務に適しています。
AI型のバーチャルアシスタントに任せられることは?
- 個人の業務:スケジュール管理、リマインダー、メール下書き補助とブラッシュアップ、リサーチ
- カスタマーサポート:FAQ応答、チャットボットによる24時間対応、一次問い合わせの自動対応
- 営業:リード対応、一次問い合わせのフォロー
- バックオフィス業務の自動化:請求書処理、データ入力、定型レポートの生成
人間とAI型のバーチャルアシスタントの両方を活用している事例は?
コールセンターや営業対応では、AIバーチャルアシスタントが一次対応を行い、複雑な案件は人のバーチャルアシスタントへエスカレーションして対応するハイブリッド型があります。
AI型のバーチャルアシスタントの事例は?
ダイキンは、繁忙期に発生する約3万件の問い合わせ対応をAIボイスボットに任せ、つながりやすさを示す応答率を3%改善しました。待ち時間の短縮にもつながり、カスタマーサポートの顧客満足度は5段階中4.5に上昇しました。さらに、AIのみでの対応完了率は96%に達し、業務効率の向上にもつながりました。
文:Takako Kasai





