ECサイトで起こりがちな、「カスタマーサポートの負担が大きい」「問い合わせ対応に多くの時間を取られている」といった課題の解決策として、AIチャットボットに注目が集まっています。24時間365日の問い合わせ対応や定型業務の自動化に加え、注文情報を参照した案内や商品レコメンドなど、対応できる業務も広がっています。一方で、ツールによって機能や外部システムとの連携範囲は異なるため、自社の課題に合ったサービスを選ぶことが重要です。
この記事では、カスタマーサービス向けAIチャットボットについて、おすすめアプリや導入メリット、活用事例などを紹介します。
ECのカスタマーサービスにおすすめのAIチャットボットアプリ5選
- Channel Talk(チャネルトーク)
- Willdesk(ウィルデスク)
- Chatwill(チャットウィル)
- Algoshop AI Chatbot(アルゴショップ エーアイチャットボット)
- Commslayer(コムスレイヤー)
1. Channel Talk(チャネルトーク)
Channel Talk(チャネルトーク)は、日本語環境でAIチャットボットを運用したいEC事業者におすすめのコミュニケーションツールです。AIエージェント「ALF」は専門知識がなくても自社用にカスタマイズでき、配送状況や返品方法、商品仕様といった定型的な問い合わせに24時間自動対応を可能とします。また、ライブチャットに加え、メールやLINE(ライン)公式アカウント、Instagram(インスタグラム)など複数チャネルからの問い合わせを一元管理でき、顧客情報と連携したCRM機能も備えています。
2. Willdesk(ウィルデスク)
Willdesk(ウィルデスク)は、処理を効率化したいEC事業者向けのAIチャットボットです。AIチャットによる質問への回答や接客対応のほか、注文情報や配送状況の照会、返品、交換、住所変更などの処理を自動化することができます。また、問い合わせを最適な担当者へと割り振るルーティング機能なども備えています。ECサイトの基本的なサポート業務を自動化することで、スタッフは人の手が必要な業務に集中できるため、少人数で運営するストアや注文数が増加しているEC事業者に適しています。
3. Chatwill(チャットウィル)
Chatwill(チャットウィル)は、AIチャットボットを短期間で導入したいEC事業者に適したアプリです。商品ページやFAQ、配送ポリシーなどストア内の情報をAIが自動で学習するため、事前に大量のシナリオやFAQを作成しなくても運用を開始できます。顧客はチャットボットを利用して商品検索やレコメンド、注文状況の確認を行うこともでき、購入前後の問い合わせをまとめてサポートできることも特徴です。Built for Shopify(ビルトフォーショッピファイ)認定アプリでShopifyとの親和性も高く、専門知識がなくても導入しやすいため、AI接客を試験的に導入したい小規模ストアから、本格運用を目指す事業者まで幅広く活用できます。
4. Algoshop AI Chatbot(アルゴショップエーアイチャットボット)
Algoshop AI Chatbot(アルゴショップエーアイチャットボット)は、問い合わせ対応だけでなく、チャットを売上向上につなげたいEC事業者におすすめのアプリです。AIチャットボットがカスタマーサポートだけではなく、顧客の行動を分析して商品レコメンドやクーポン配信などを行い、販促アシスタントとして機能します。また、WhatsApp(ワッツアップ)やInstagram、Messenger(メッセンジャー)といったSNSへの自動返信などにも対応しています。アップセルやクロスセルにも活用でき、SNS経由の集客が多いストアや、チャットを販売チャネルとして活用したいブランドに適しています。
5. Commslayer(コムスレイヤー)
Commslayer(コムスレイヤー)は、複数の担当者でカスタマーサポートを運営しているEC事業者向けのヘルプデスクツールです。メールやライブチャット、WhatsAppなど複数チャネルの問い合わせの自動返信や一元管理が可能なほか、サポート担当者をアシストするAIエージェント機能を備えています。これにより、問い合わせ内容の要約、返信文の作成、自動翻訳、注文情報の編集など、日々のサポート業務を効率化することができます。担当者ごとの対応品質のばらつきを抑えながら、返信時間の短縮や業務の標準化を図れるため、問い合わせ件数が多い中規模以上のEC事業者や、多言語対応が必要な越境ECにも適したアプリです。
なおShopify App Store(ショッピファイアップストア)では日本語を対応言語として利用できますが、開発元による日本語の直接サポートは提供されていません。そのため、機能を重視し、自社で設定や運用を進められる体制がある事業者におすすめです。

カスタマーサービスで活用されるAIチャットボットとは
AIチャットボットとは、人工知能(AI)を活用し、人と会話するような自然な受け答えで対応するソフトウェアです。カスタマーサービスで活用すれば、よくある質問への回答や注文状況の確認といった定型的な問い合わせにスタッフの手間をかけることなく、自動で対応できるようになります。また、問い合わせ内容に応じて必要な処理を自動化したり、担当者による対応が必要な問い合わせを有人対応へ引き継いだりすることも可能です。
AIチャットボットとルールベース型チャットボットの違い
AIチャットボットとルールベース型チャットボットには、回答の仕組みや対応できる範囲に違いがあります。
- AIチャットボット:顧客データや過去の会話からパターンを学習し、問い合わせ内容や文脈に応じた回答を生成します。事前に個別の回答が設定されていない質問にも対応でき、会話を重ねることで新しい質問や状況にも柔軟に対応します。
- ルールベース型チャットボット:あらかじめ設定されたシナリオやルールに従って回答します。ユーザーが選択した項目や入力したキーワードに応じて、用意された回答を表示する仕組みです。
AIチャットボットの仕組み
AIチャットボットは、機械学習技術を活用して顧客の質問を理解し、適切な回答を生成します。代表的な技術は次のとおりです。
- 自然言語処理(NLP):人が日常的に使う言葉の意味や文脈をコンピュータが理解するための技術で、顧客の意図や感情を分析したり、問い合わせ内容を分類したりすることができます。
- 大規模言語モデル(LLM):膨大なテキストデータを学習したAIモデルで、文脈を理解しながら自然な文章や回答を生成する技術です。
これらの技術を組み合わせることで、AIチャットボットは顧客の質問内容や文脈を理解し、一人ひとりに合わせた自然な回答を生成できるようになります。

カスタマーサービスでAIチャットボットを利用するメリット
1. 24時間365日問い合わせに対応できる
MMD研究所が行った調査によると、企業への問い合わせの際に重視する項目(複数回答可)という質問で選択された回答の上位3つは、「対応の早さ」(46.1%)、「解決までの早さ」(44.7%)、「土日でも対応できること」(35.6%)となりました。また、「24時間対応できること」も30.6%となっており、迅速な対応が顧客から強く期待されていることがわかります。
AIチャットボットは24時間365日稼働できるため、営業時間外や休日、セール期間など問い合わせが集中するタイミングでも顧客対応を継続できます。営業時間外に有人対応が必要な問い合わせが発生した場合でも、チャットボットが問い合わせ内容や連絡先を受け付けておくことで、営業時間になってから担当者が迅速に対応することができます。
2. 注文、配送、返品に関する問い合わせを自動化できる
AIチャットボットはECサイトの商品情報や注文データと連携することで、注文状況や配送状況をリアルタイムで案内できます。また、配送方法や商品の交換、返品ポリシーに関する問い合わせにも自動で回答できるため、顧客を待たせることなくサポートを提供できます。
問い合わせ件数の多い内容をAIが対応することで、カスタマーサポートの負担軽減にもつながります。
3. 担当者が対応すべき問い合わせに専念できる
AIチャットボットは、よくある質問への回答や注文管理、アカウント管理などの定型業務を自動化できます。
AIチャットボットを導入済みの企業を対象にPRIZMA(プリズマ)が行った調査によると、導入によりカスタマーサポートの業務工数がどの程度削減されたかという質問に対しては、「30〜49%削減できた」という回答が最も多く(33.5%)、次いで「50〜79%削減できた」という回答(30.3%)が続きました。。こうした効率化により、担当者は個別の事情を考慮する必要がある問い合わせや、共感や提案が求められる対応など、人による判断が重要な業務に集中できるようになります。
4. 顧客満足度の向上とLTVの最大化につながる
HubSpot Japan(ハブスポットジャパン)の調査によれば、カスタマーサービスに問い合わせる前に「自己解決を試みる」と答えたユーザーは88.3%と大多数を占めています。AIチャットボットは、顧客の購入履歴や注文情報、過去の問い合わせ内容などをもとに回答を生成できるため、一人ひとりに合わせてパーソナライズされたサポートを提供できます。
例えば、直近の購入商品や注文状況を踏まえて回答することで、顧客が同じ内容を何度も説明する手間を減らせます。顧客一人ひとりに最適化された対応や自己解決に導くサポートは、顧客満足度やエンゲージメント、ブランドロイヤルティの向上につながり、リピート購入の促進やLTV(顧客生涯価値)の最大化も期待できます。

カスタマーサービスで活用されるAIチャットボットの主な機能
- 注文状況や配送情報を案内する:注文状況や配送状況をリアルタイムで案内できます。顧客は注文番号などを入力するだけで配送状況を確認できるほか、購入後の使い方ガイドやFAQなどを案内することもできます。
- 返品、交換、返金対応を自動化する:返品や交換、返金に関する処理を自動化することもできます。実店舗も運営している場合には、店舗での返品や交換を案内することで、オムニチャネル戦略へつなげることも可能です。
- 商品選びをサポートする:顧客からの質問に回答したり、希望条件に合った商品を自動的に提案したりできます。商品情報や在庫状況をもとに、顧客のニーズに合った商品を案内することも可能です。
- 多言語で顧客対応する:AIの翻訳機能により、複数の言語で顧客対応できます。海外顧客からの問い合わせに対応できるほか、営業時間に関係なく多言語でサポートを提供できます。
- よくある問い合わせに24時間対応する:営業時間外でもよくある問い合わせに自動で回答できます。配送状況や支払い方法、返品方法、会員登録など、定型的な問い合わせに対応できます。
- カゴ落ちを防止する:顧客からの問い合わせを待つだけではなく、積極的にコミュニケーションをとるようにすることもできます。例えばアパレル商品のページを見ている顧客に対して、「サイズ選びでお困りですか?」といったメッセージを表示することで、購入率を高めることができます。

Shopifyで利用できるAIカスタマーサービス機能
Shopify Inbox(ショッピファイインボックス)
Shopify Inbox(ショッピファイインボックス)は、オンラインストアにチャット機能を追加できるShopify公式のメッセージツールです。日本のShopifyストアでは、よくある質問への即時回答や最初の自動返信を設定することができます。
また、カスタマーサポートを支援するAIエージェント機能も開発中で、早期アクセス版(英語のみ対応)では、ストア内の情報をもとに回答や返信候補を生成することができます。
Shopify Knowledge Base(ノウレッジベース)
Shopify Knowledge Baseは、ChatGPT(チャットジーピーティ)やGoogle Gemini(グーグルジェミニ)、Microsoft Copilot(マイクロソフトコパイロット)などのAIサービスが、ストアについて正確に回答できるように情報を管理するShopify公式アプリです。また、AIサービス上でどのような質問が寄せられているか、AIが回答できなかった質問は何かを分析でき、FAQや商品説明、配送案内などの追加、更新に役立てることもできます。
Shopify Knowledge Baseは日本のストアでも利用できますが、アプリの管理画面は現時点では英語のみです。

ECのカスタマーサービスにおけるAIチャットボット活用事例
- アンファー:FAQとAIチャットボットで無人対応比率が最大81%を達成
- プレミアムウォーター:問い合わせ導線の見直しで電話への入電数を20%削減
- ストライプインターナショナル:AIチャットボットの活用で電話、メールでの問い合わせを大幅に削減
- ニッセン:AIチャットボットとRPAで問い合わせの70%をデジタル化
- ミスミ:専門的な問い合わせの回答時間を最大98%短縮
1. アンファー:FAQとAIチャットボットで無人対応比率が最大81%を達成
スカルプDシリーズなどを展開するアンファーでは、定期購入に関する問い合わせが増え、コールセンターの負担が課題となっていました。そこで、自社ECサイト「アンファーストア」にKARAKURI chatbot(カラクリチャットボット)を導入し、定期購入や商品に関する問い合わせへの対応を自動化しました。さらに、会話ログを分析しながらFAQやサイト表記、サービス内容を継続的に改善した結果、FAQとAIチャットボットによる無人対応比率は単月最大81%を達成しています。また、電話問い合わせが減少したことで、コールセンターの営業時間を3時間短縮しました。
2. プレミアムウォーター:問い合わせ導線の見直しで電話への入電数を20%削減
宅配水サービスを提供するプレミアムウォーターでは、顧客数の増加に伴い、電話がつながりにくくなることが課題となっていました。そこで、ウェブサイトや公式アプリ、LINEにKARAKURI chatbotを導入し、顧客が最初にAIチャットボットを利用する問い合わせ導線を構築しました。また、回答できなかった会話ログを分析し、回答内容を継続的に改善しています。その結果、電話への入電数は20%減少し、回答率97%、対応満足率57%を維持しました。
3. ストライプインターナショナル:AIチャットボットの活用で電話、メールでの問い合わせを大幅に削減
「earth music&ecology(アース ミュージックアンドエコロジー)」などのアパレルブランドを展開するストライプインターナショナルは、問い合わせ窓口が分散していたことで、顧客の声をサービス改善へ生かしにくいことを課題としていました。そこで、ECサイト「STRIPE CLUB(ストライプクラブ)」にKARAKURI chatbotを導入し、定型的な問い合わせへの対応を自動化しました。さらに、会話ログを分析し、曖昧な質問でも回答しやすい会話設計へ改善を重ねた結果、電話問い合わせは32%、メール問い合わせは23%減少し、チャットボットの満足度も約9%向上しました。
4. ニッセン:AIチャットボットとRPAで問い合わせの70%をデジタル化
総合通販事業を展開するニッセンは、人手不足への対応と問い合わせ対応の効率化が課題となっていました。そこで、一般的な問い合わせにはAIチャットボットが対応し、返品などの後続処理はRPA(ロボティックプロセスオートメーション)が担う体制を構築しました。また、AIチャットボットで対応できない内容は有人チャットへ引き継ぐ仕組みも整えています。その結果、問い合わせの55%をRPA、15%をAIチャットボットが処理し、合計70%のデジタル化を実現しました。
5. ミスミ:専門的な問い合わせの回答時間を最大98%短縮
機械部品などを販売するB2BECサイトを運営するミスミでは、取扱商品が非常に多く、商品仕様や選定に関する専門的な問い合わせへの回答に時間がかかることが課題でした。そこで、過去の問い合わせ履歴や製品情報、カタログ、注文情報を参照できる生成AIチャットボットを導入し、技術的な問い合わせや注文変更、返品などの対応を自動化しました。その結果、技術的な問い合わせの回答時間は平均約1時間から40秒へ短縮され、98%の時間削減を実現しています。社内データと生成AIを連携させることで、高度な問い合わせにも迅速に対応できる体制を構築しました。

Shopify Inboxを活用してAIチャットボットを導入する方法
1. Shopify Inboxをインストールしてチャットを有効にする
まずは、Shopify App StoreからShopify Inboxをインストールします。インストール後は、Shopifyのテーマエディタからオンラインストアチャットを有効にしましょう。チャットボタンの表示位置やデザイン、顧客へ表示するあいさつメッセージも、ストアに合わせて設定できます。
2. 即時回答と自動返信を設定する
次に、配送状況や返品、交換、支払い方法など、問い合わせの多い内容を「即時回答」として登録します。顧客はチャット画面から質問を選択するだけで回答を確認できるため、オペレーターを待たずに疑問を解決できるようになります。また、営業時間外には自動返信を設定し、対応可能な時間や返信の目安を案内しておくと、顧客も安心して問い合わせできます。
3. 必要に応じて外部のAIチャットボットを導入する
商品レコメンドや生成AIによる回答、CRMとの連携など、Shopify Inboxでは対応できない機能が必要な場合は、Shopify App StoreからAIチャットボットアプリを導入しましょう。利用できる機能や連携先はアプリによって異なるため、自社の運用に合ったものを選ぶことが重要です。
4. 有人対応への切り替えルールを設定する
複雑な問い合わせや個別対応が必要な場合はスタッフが引き継ぐというルールを設定しておきましょう。また、対応時間や返信までの目安を表示することで、顧客は安心して問い合わせできます。導入後は、問い合わせ履歴や回答できなかった質問を定期的に確認し、FAQや回答内容を改善することで、AIチャットボットの回答精度や自己解決率の向上につながります。
まとめ
AIチャットボットは、24時間365日の問い合わせ対応や注文、配送、返品に関するサポートの自動化を通じて、顧客満足度の向上とカスタマーサポート業務の効率化を実現できるツールです。近年では、生成AIの進化により、FAQへの回答だけでなく、商品提案や注文情報をもとにパーソナライズされた対応など、活用の幅も広がっています。
Shopifyでは、Shopify App StoreからさまざまなAIチャットボットを導入できます。まずは自社の課題や必要な機能を整理したうえで、事業規模や運用体制に合ったツールを選び、顧客対応の品質向上と業務効率化に役立てましょう。
カスタマーサービス向けAIチャットボットのよくある質問
カスタマーサービスで活用されるAIチャットボットとは?
カスタマーサービス向けのAIチャットボットとは、人と会話するような自然な受け答えで顧客からの問い合わせに自動対応するソフトウェアです。
カスタマーサービスでAIチャットボットを利用するメリットは?
- 24時間365日問い合わせに対応できる
- 注文、配送、返品に関する問い合わせを自動化できる
- 担当者が対応すべき問い合わせに専念できる
- 顧客満足度の向上とLTVの最大化につながる
AIチャットボットの導入費用は?
AIチャットボットの導入費用は、利用するサービスや機能によって異なります。Shopify Inboxは無料で利用できますが、生成AIによる回答や外部システム連携などが必要な場合は、有料アプリの月額料金が発生します。




