ECサイト運営者にとって、「アクセスはあるのに売上につながらない」「広告費をかけても利益が伸びない」といった悩みがつきものです。コンバージョン数やコンバージョン率といった指標に注目するのは重要ですが、実はその改善方法に正解がないという点が、悩みの原因となっています。
コンバージョンには、集客数や顧客との関係性、UI・UXの完成度など、複数の要素が関係してきます。そのため改善するには、全体像をそれぞれの要素に分解し、自社にとっての成果につながるポイントや施策に時間と予算を割くことが重要です。
この記事では、ECのコンバージョン改善のコツや対策について解説していきます。コンバージョン率に影響を与える要素についても触れていますので、ぜひ参考にしてください。

ECのコンバージョン改善が重要な理由
コンバージョンとは、サイトにアクセスしてきたユーザーが企業の期待する行動に至ることを指し、ECにおいては主に商品購入が該当します。サイトへのユーザー流入数が上がればコンバージョン数も増え、また商品ページのわかりやすさや使いやすさが向上すればコンバージョン率がアップします。
これらの変化を見れば、広告やサイト改善などの取り組みが成功したかどうかを把握できるため、ECサイトのKPIとして活用される重要な指標です。一方で、複数の要素が影響しあった結果として現れる最終的な数値でもあり、単一の施策だけではなかなかコンバージョン改善を実現できません。だからこそコンバージョン改善の取り組みは、顧客体験(CX)向上を含めたサイト全体の最適化につながり、結果として持続的な売上アップにもつながっていきます。

コンバージョン改善に必要な構成要素
サイト流入数
サイト流入数とは、検索エンジンやSNS、外部サイト、広告などから自社サイトを訪問した数を指します。サイト流入数は「訪問数」や「セッション数」と同じ意味で使用されることが多く、サイトを訪問してから離れるまでを1回とカウントするのが一般的です。サイト流入数が増えることにより、コンバージョン数のアップが期待できます。
コンバージョン率(CVR)
コンバージョン率とは、サイト訪問者数に対する商品購入数です。ECにおけるコンバージョン率は以下の計算式で求められます。
ECのコンバージョン率 = (商品購入数(注文数)÷ ECサイトへの訪問数)×100
例えば月間のサイト訪問数が1,000件あり、商品の購入数が50件だった場合、コンバージョン率は50 ÷ 1,000 = 0.05となり、5%です。ECサイト訪問者を増やして売上を伸ばす戦略を取る場合、SEO対策や広告費への投資を行う必要があります。しかし、コンバージョン改善を行うことで、ランニングコストとしてかかり続ける広告費を削減しながら商品購入数増加を狙えます。
コンバージョン単価(CPA)
コンバージョン単価とは、1件の商品購入を成功させるまでに必要となる費用のことで、英語の「Cost Per Action」の頭文字をとってCPAとも呼ばれます。コンバージョン単価は以下の計算式で求められます。
コンバージョン単価 = 費用 ÷ コンバージョン数
コンバージョン単価が高いと、同じコンバージョン数でも利益率が下がってしまいます。
リピート率
リピート率は、一定の期間中に商品を購入した顧客のうち、2回以上購入した人の割合を示す指標です。顧客維持においても重要な指標で、数値が高いほど商品やサービスへの満足度が高く、継続利用につながっていると言えます。リピート率の計算方法は以下の通りです。
リピート率 = (リピート顧客数 ÷ 顧客数)× 100
リピート率が高いと、顧客生涯価値(LTV)も高くなり、事業の成長を促すうえでも重要となります。

ECのコンバージョンを改善する10のコツ
- サイト流入数を増やす
- 顧客の購入単価を上げる
- リピート購入率を上げる
- 心理的アプローチを活用する
- UI・UXデザインの改善
- 商品ページの最適化を行う
- モバイル最適化を行う
- メールを活用する
- 手厚いカスタマーサポートを準備する
- データを活用しながら改善を続ける
1. サイト流入数を増やす
コンバージョンを改善するにはまず、サイト流入数を増やす方法があります。ECサイトへの訪問者数が少ないと、商品やブランドの認知度も上がらず、商品の購入につながりにくくなります。検索エンジンからのオーガニックトラフィックを集めるなど、以下のようなインバウンドマーケティング施策が有効です。
- コンテンツマーケティング
- SEOマーケティング
- メールマーケティング
- SNSマーケティング
- オンラインイベントやウェビナー
さらに、短期間で多くの流入数獲得を狙う場合には、有料広告の出稿も効果的です。
2. 顧客の購入単価を上げる
購入単価を上げる施策は、コンバージョン改善に効果的です。具体的な施策としては、類似商品の購入を促すクロスセルや、上位商品やプランの購入を促すアップセルがあります。
顧客が買い物かごに入れた商品や過去の購入履歴、閲覧履歴に合わせて「よく一緒に購入されている商品」や「おすすめの商品」などをレコメンド機能を使って提案します。また、まとめ買い割引や無料配送といった特典を付けることで購入を促し、さらに単価を上げることが可能です。
3. リピート購入率を上げる
リピート購入率を上げることでコンバージョン改善が見込めます。既存顧客維持と新規顧客獲得を比較すると、すでに商品やサービスのことを認知している既存顧客の方がコンバージョンにつながりやすく、広告などのコストもかかりません。
リピート購入率を上げるには、会員アカウント機能で2回目以降の注文の簡易化や、ロイヤルティプログラムの提案、既存顧客向けの割引といった方法があります。
4. 心理的アプローチを活用する
購買意欲を高めるマーケティング心理学を活かすことで、コンバージョン改善につなげることができます。具体的には以下の方法が考えられます。
- 希少性や緊急性の協調:「期間限定」「先着●名」などのキャンペーンで「今購入するべき」という感情を喚起する
- 安心感につながる情報提供:「全額返金保証」などの不安軽減につながる情報を提供し、購入障壁を取り除く
- 魅力的なコピーライティング:商品説明では特徴だけではなく、利用シーンやライフスタイルの変化をイメージさせる
- 社会的証明の活用:レビューなどの第三者からの評価は、信頼性を高めやすい
このような説得心理学を活用したアプローチを行えば、効果的にコンバージョン改善へと導くことができます。
5. UI・UXデザインの改善
ECサイトのUI・UXデザインを見直し、改善を行うことで、顧客がよりスムーズに購入手続きを完了できるようになります。カスタマージャーニーマップを見直したり、ユーザーにヒアリングを行ったりして改善点を探っていきます。また、以下の項目も確認し、必要に応じて改善策を講じていきます。
- トップページデザイン:顧客が閲覧を続けるかを決定する重要なページのため、魅力を短く簡潔にアピールします。ロゴやイメージカラーなどのブランドアイデンティティに合ったデザインを採用します。
- サイトスピード改善:ページの読み込み速度が遅いと離脱を招くため、画像最適化やブラウザのキャッシュを利用して改善に努めます。
- チェックアウト改善:ワンクリック購入を導入するなど、購入までの動線を短く設計します。手続きの簡易化により売上機会の損失を防げます。
- 決済方法:人気の決済方法や、決済代行サービスを使えるようにすることで、希望の決済方法がないことが原因の離脱を防げます。
- CTAボタンの最適化:「カートに入れる」「今すぐ購入」「再入荷通知をする」など、ユーザーが「次はどうすれば良いか」と迷わないようCTAボタンによりナビゲートします。
- アクセシビリティ:ECサイトそのものが見やすくなるよう、テキストのサイズや色、文量などを調節します。情報を詰め込みすぎてしまったり、論理的な順序でない場合は離脱を招いてしまうため、注意が必要です。
6. 商品ページの最適化を行う
顧客が必要とする情報を見つけられなかった場合には、問い合わせ等を行わないままサイトを離脱してしまうケースも珍しくありません。そのため商品ページには、商品の特徴や機能、サイズ、価格など顧客が知りたい情報を過不足なく記載する必要があります。また、テキストだけでは伝わらない部分を補うためにも、質の高い商品画像や動画を活用することも検討しましょう。
7. モバイル最適化を行う
スマホからの商品購入が増えていることから、モバイル最適化はコンバージョン改善においても重要な施策のひとつです。スマホからの操作性が悪いと購入意欲を失わせてしまいます。そこで、スマホからの読み込みスピード改善や、指で押しやすいボタンサイズなどの配慮が重要です。複数のボタンが並ぶ場合には、間違えて隣のボタンを押してしまうことがないよう、十分なスペースを開けることも大切です。視認性を高めるために、スマホで読みやすいフォントを使用し、フォントサイズや色にも気を付けると良いでしょう。
8. メールを活用する
コンバージョン改善には、メールを活用した以下のアプローチが効果的です。
- カゴ落ちメール:商品を買い物かごに入れたままECサイトを離れてしまった顧客に対し、メールを送ることで購入手続きを促します。カゴに入っている商品は顧客が興味を持っている商品のため、メールで購入手続きが終わっていないことを思い出してもらい、場合によっては特典を設けることでコンバージョンにつなげます。
- リターゲティングメール:一度接点を持った顧客を対象に、サイトへの再訪を促します。購入から一定期間が経過したタイミングや、メルマガの開封などをきっかけに、メールを送信します。
9. 手厚いカスタマーサポートを準備する
優れたカスタマーサポートによりコンバージョン改善を行うことも可能です。電話やメール、チャットなどさまざまな問い合わせ手段が明記されていると顧客は安心感を覚えます。何かトラブルがあった時にも問い合わせられると感じることで、購入への抵抗感を減らします。また、チャットボットや対話型AIを活用すれば、24時間顧客の好きなタイミングで質問ができ、購入前に悩むことなく必要な情報を得られるようになります。購入後のトラブルにも活用できるため、顧客満足度向上のための施策としても役立ちます。
10. データを活用しながら改善を続ける
コンバージョン改善には、ユーザーの行動を監視・分析するなどデータの活用が不可欠です。以下のツールを活用して、離脱のタイミング離脱ポイント、流入経路を調べましょう。
- Google Analytics(グーグルアナリティクス):訪問者が多いページや平均滞在時間などのユーザー行動から、購入経路、コンバージョン分析などが行えます。
- ヒートマップ:ユーザーがサイトのどのエリアを見ていて、どのような行動を起こしているか、どこで離脱したかを色や図形で可視化したものです。このデータを参考に、離脱を避けるための施策やCTAの配置などを調整していきます。
- アンケート:離脱者向けや初回購入者向け、リピーター向けなどにアンケートを行い、サイトを利用した感想や改善点などを洗い出します。
データを活用したCRO(コンバージョン率最適化)を行えば、KPI達成のための具体的な施策を策定できます。データは定期的に監視・分析をすることで、とった施策の効果を評価することができ、継続的にコンバージョン改善を行えます。
まとめ
ECのコンバージョン改善は、売上アップに直結します。コンバージョン数やコンバージョン率といった指標に注目しながら、サイトの利便性を向上させたり、購入障壁を取り除いたりすることで、顧客体験の向上にもつながります。
コンバージョン改善には、サイトへの流入数を増やしたり、購入単価やリピート購入率を上げたりと、さまざまな方法があります。サイト改善やマーケティング、カスタマーサポートの充実まで多岐にわたるため、自社ECサイトの特徴や傾向を分析しながらコンバージョン改善策を講じていく必要があります。今回の記事で解説した内容からいろいろな可能性を検討して、ぜひ事業の成長に役立ててください。
ECのコンバージョン改善に関するよくある質問
ECのコンバージョン改善とは?
ECのコンバージョン改善とは、より多くのECサイト訪問者が商品購入に至るよう行う施策のことです。コンバージョン改善を行うことで、より多くの売上を目指せるだけでなく、顧客体験の向上にもつながります。
コンバージョン改善に必要な構成要素は?
- サイト流入数:サイト訪問者の数
- コンバージョン率(CVR):サイト訪問者に対する商品購入者の割合
- コンバージョン単価(CPA):1件の商品購入に必要となる費用
- リピート率:一定の期間中に商品を購入した顧客のうち、2回以上購入した人の割合
ECのコンバージョン改善のコツは?
- 流入数を増やす
- 顧客の購入単価を上げる
- リピート購入率を上げる
- 心理的アプローチを活用する
- UI・UXデザインの改善
- 商品ページの最適化を行う
- モバイル最適化を行う
- メールを活用する
- 手厚いカスタマーサポートを準備する
- データを活用しながら改善を続ける
ECのコンバージョン改善で得られるメリットは?
- コンバージョン単価の低下
- 顧客満足度の向上
- リピート率向上
- 広告費削減
ECのコンバージョン改善の流れは?
- データを分析し現状を把握する
- コンバージョンが低い原因を特定する
- 改善策を検討する
- 優先順位をつけて施策を実行していく
文:Masumi Murakami





