LinkedIn(リンクトイン)は世界で13億人規模のユーザーを有し、経営者や役員、専門職など意思決定に関与する層が多く利用しているビジネス特化型SNSです。一方で、「採用や転職のためのツール」というイメージを持たれがちですが、実際には、BtoB(企業間取引)領域における営業やマーケティングの有効な手段として活用が広がっています。
本記事では、LinkedInの会社ページを営業活用する方法や、LinkedInが営業に適している理由などを紹介します。LinkedInを使ってマーケティングの成果を最適化したいブランドや企業の方は、ぜひ参考にしてください。
LinkedIn営業とは
LinkedIn営業とは、ビジネス特化型SNSであるLinkedIn上で行うBtoB営業手法を指します。
LinkedInでは個人プロフィールに加え、企業ページが作成できます。企業概要やサービス内容、導入事例などを発信することで、ターゲットとなる企業や担当者に対して継続的に情報を届けることが可能です。これにより、プラットフォーム内で見込み顧客の発見から関係構築、商談化までを一貫して行えます。
日本では採用目的や情報収集における活用が中心となっている一方、欧米と比較すると営業用途としての活用が限定的です。そのため、競合が少ない領域として先行者メリットを得やすい側面があります。とくに、海外企業との接点構築やグローバル展開を視野に入れた営業活動において、LinkedInは有効なマーケティングチャネルの一つといえます。

LinkedInが営業に適している理由
- 実名・職歴ベースの信頼性の高いデータ
- 意思決定者へ直接アプローチできる
- 精度の高い検索・フィルター機能
- コンテンツを通じた関係構築が可能
- 会社ページによる企業ブランディング
- グローバル市場へのアクセス
実名・職歴ベースの信頼性の高いデータ
LinkedInは実名登録が前提であり、職歴・役職・所属企業といったビジネス情報が詳細に公開されています。そのため、ほかのSNSと比較して情報の信頼性が高く、営業リストとしても精度の高いターゲティングが可能です。
意思決定者へ直接アプローチできる
企業の経営者や部門責任者など、意思決定に関与する層が多く利用しているため、ターゲットとなるキーパーソンへ直接アプローチできる点が特徴です。プロフィール情報から役職や業務内容を事前に把握できるため、相手に応じた提案やコミュニケーションが可能となり、営業活動の精度向上につながります。
精度の高い検索・フィルター機能
業種、職種、企業規模、地域など多様な条件で検索が可能であり、自社のターゲットに合致した見込み顧客を効率的に抽出できます。これにより、無駄なアプローチを減らし、より確実な商談機会の創出が期待できます。
コンテンツを通じた関係構築が可能
投稿や記事などのコンテンツを通じて専門性や実績などを発信することで、見込み顧客との信頼関係を事前に構築できます。いきなり営業を行うのではなく、認知から信頼、商談という自然な導線を作れる点が強みです。
会社ページによる企業ブランディング
LinkedInの会社ページを活用することで、企業としての信頼性や専門性をダイレクトに反映し、可視化できます。サービス内容や導入事例、社員情報などを発信していくことで、営業活動の裏付けとなるブランド資産を構築できます。
オムロン株式会社は、グローバルでのブランド認知向上を目的に、LinkedInの企業アカウントを活用した情報発信を行っています。日本語と英語の両言語で、自社技術の社会的意義やSDGsに関する取り組みを発信し、海外を含む幅広いステークホルダーとの接点を広げています。また、ヘルスケアや自動化領域における取り組みを動画コンテンツとして発信し、専門性や先進性を分かりやすく伝え、企業への関心や理解の促進につなげています。
グローバル市場へのアクセス
LinkedInは世界中で利用されているため、国内に限らず海外企業へのアプローチも可能です。とくにBtoBマーケティングにおいては、国境を越えた営業チャネルとして有効に機能します。
フジクラ株式会社は、電線・通信ケーブル事業における海外展開を強化するため、LinkedIn企業アカウントを営業チャネルとして活用しています。欧州・中東市場を主な対象に、英語での技術情報や展示会関連のコンテンツを継続的に発信し、現地の購買担当者や技術者との接点を創出しています。また、LinkedIn広告と製品資料への導線を組み合わせることで、見込み顧客の獲得にもつなげています。LinkedInを国際商談の入口として位置づけ、グローバル市場における営業活動の基盤を構築している点が特徴です。
LinkedIn会社ページの作成方法
1. 個人ページの作成
LinkedInの会社ページを作成するには、実名で登録された個人アカウントが必要です。会社ページは個人アカウントに紐づいて管理される仕組みとなっています。
また、LinkedInでは実名での利用が原則とされており、虚偽の情報でアカウントを作成した場合、利用制限がかかる可能性があります。その結果、会社ページの作成や運用に支障が出るおそれがあるため、正確な情報で登録することが重要です。
2. 会社ページの作成
LinkedInの会社ページは、デスクトップ版から作成します。スマートフォンからは作成できません。
作成手順は以下の通りです。
- デスクトップで個人ページを開き、右上のメニューにある「9つの点のアイコン(ビジネス向け)」をクリック
- 表示されたメニューを下にスクロールし、「会社ページを作成」をクリック

- 「LinkedIn会社・団体ページを作成する」画面で、自社が該当するページタイプを選択
3. 会社情報の入力
ページを作成するために、以下の情報を入力します。

- 会社名
- LinkedIn URL(例: www.linkedin.com/company/mycompany の「mycompany」部分)
- 会社のウェブサイト
- 業種
- 組織の規模
- 組織の種類
- ロゴ
- タグライン(企業概要の要約)
すべての項目を入力後、利用規約に同意し、「ページを作成」をクリックすると会社ページの作成が完了します。
LinkedIn会社ページを営業に活用する方法
- LinkedIn会社ページを営業向けに最適化する
- 会社ページでインバウンド営業につながる投稿をする
- 会社ページと個人アカウントを連携させる
- フォロワーを見込み顧客として蓄積する
- 分析機能で営業改善を行う
1. LinkedIn会社ページを営業向けに最適化する
LinkedInの会社ページは、単なる企業紹介に留まらず、営業成果につなげるための情報設計が重要です。営業担当が個人でアプローチする際、顧客は高い確率で会社ページを確認するため、単なる会社概要ではなく、営業活動を補完する情報基盤として設計することが重要です。
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キャッチコピーの設計:「顧客の課題をどう解決するか」を明確にする

- CTA(行動導線)の設定:カスタムボタンを設定し、資料請求ページなどに誘導することで、リード獲得につなげる
- コンテンツの活用:導入事例や実績の投稿を固定表示し、信頼性を補強する
- ビジュアルの統一:ロゴやカバー画像をブランドに合わせて設定し、一貫した印象を与える
- 会社概要の最適化:ミッションや提供価値、さらにキーワードを含めることで、LinkedIn内や検索エンジンで見つけられやすくなる
- 多言語対応:必要に応じて複数言語で情報を発信し、海外ユーザーへのリーチを拡大する
- 機能の活用:製品ページやショーケースページなどを活用し、必要に応じて情報を整理する
2. 会社ページでインバウンド営業につながる投稿をする
直接的な売り込みではなく、情報発信を通じて信頼関係を構築し、見込み顧客との継続的な接点を生み出すことが重要です。これはコンテンツマーケティングの考え方に基づく営業手法ともいえます。
- 専門性のある情報発信:業界トレンドの解説や自社独自の知見・調査データを発信し、「この会社は詳しい」という信頼を構築する
- 導入事例や課題解決コンテンツの発信:成功事例やよくある課題とその解決策を提示し、具体的な価値を伝える
- 既存コンテンツの活用:自社ブログや他媒体の記事をシェアし、情報資産を有効活用する
- 拡散・接点の創出:いいねやコメントなどの反応により、フォロワー以外にも投稿が表示され、新たな接点を生み出す
- ライブ配信の活用:セミナーやイベントを配信し、リアルタイムでの接点や関係構築につなげる
3. 会社ページと個人アカウントを連携させる
LinkedInでは、会社ページと社長や社員の個人アカウントを連携させることで、リーチ拡大や信頼構築を効率的に進めることができます。企業ではなく人を起点とした情報発信ができるため、営業活動にも有効です。
また、一般的に企業ページよりも個人アカウントの投稿のほうがエンゲージメントを得やすい傾向にあるため、社員の発信を活用することで、より多くのユーザーに情報を届けやすくなります。
- タグ付けによる認知拡大:営業担当が個人投稿を行う際に会社ページをタグ付けすることで、個人フォロワーを企業ページへ誘導する
- 社員による拡散:会社ページの投稿を社員がシェア・コメントすることで、より広いネットワークに情報を届ける
- 接触前の導線づくり:営業アプローチの前に投稿を閲覧してもらうことで、事前に企業理解や信頼形成を促す
- プロフィールとの紐づけ:社員のプロフィールに会社ページを設定し、企業との関係性を明確にする
4. フォロワーを見込み顧客として蓄積する
会社ページのフォロワーは、継続的に情報を届けられる見込み顧客層として機能します。一度の接点で終わるのではなく、発信を通じて関係性を深めていくことで、将来的な商談機会の創出につながり、継続的に価値を生み出す営業基盤の構築が可能です。
- フォロワー属性の分析:職種や業界、役職などのデータをもとに、自社に関心を持つ層の傾向を把握し、ターゲットの精度向上に活かす
- 継続的な情報発信:関係性を維持し、企業理解と信頼を段階的に深める
- 適切なタイミングで営業アプローチ:投稿への反応や関心度を踏まえ、検討度が高まったタイミングで接触し、商談化の確率を高める
5. 分析機能で営業改善を行う
LinkedInの会社ページには、投稿・フォロワー・訪問者などのデータを可視化できる分析機能が備わっており、営業活動の改善に活用できます。反応の良いテーマやターゲットを特定し、コンテンツ設計や営業アプローチに反映することで、成果の再現性を高めることが可能です。
- 反応の高いテーマの把握:投稿ごとのエンゲージメントを確認することで、どのテーマや形式が効果的かを評価できる
- ターゲット像の明確化:フォロワーの職種・業界・地域などの属性データを分析し、自社と親和性の高い層を把握する
- 見込み顧客の傾向を把握:ページ訪問者の属性や流入経路を確認することで、どのチャネルや訴求が効果的かを判断する
- 認知経路の理解:どのキーワードでページが検索・表示されているかを把握し、発信内容やキーワード設計の改善に活かす
- 自社の立ち位置を把握:フォロワー数やエンゲージメントを競合と比較し、改善の方向性を明確にする
まとめ
LinkedIn営業は、単なるアプローチ手法ではなく、信頼構築を起点とした営業プロセスです。個人アカウントによる接点づくりと、会社ページによる信頼の裏付けを組み合わせることで、商談につながる確率を高めることができます。
とくに会社ページは、顧客が企業理解を深めるための重要な情報基盤です。営業担当者が接触した際、相手は所属企業を確認し、その信頼性や専門性を判断します。そのため、会社ページでは事業内容や実績の掲載に加え、有益なコンテンツを継続的に発信し、「信頼できる企業である」と認識される状態をつくることが重要です。
また、LinkedInでは直接的な売り込みよりも、情報発信を通じた関係構築が重視されます。投稿やコンテンツを活用して認知と信頼を蓄積し、適切なタイミングで営業アプローチにつなげることで、自然な形で商談機会を獲得できます。
LinkedIn営業に関するよくある質問
LinkedInは何のために使うサービス?
LinkedInは、ビジネスに特化したSNSであり、主に人脈構築や情報収集、営業活動、採用などを目的として利用されます。
LinkedInの会社ページは無料で作成できる?
LinkedInの会社ページは無料で作成できます。
LinkedInの個人ページなしで会社ページを作れる?
LinkedInの個人ページなしで会社ページを作成することはできません。
文:Momo Hidaka





