国内のBtoC EC市場は、前年比5.1%と順調に成長してはいるものの、近年の物価上昇による消費控えや、少子高齢化による消費減少など、課題や不安も抱えています。こうした中、今後の市場拡大に向けて注目されているのが、グローバルコマースです。国内市場に依存せずに、海外市場を取り込むことで、安定した事業運営につながります。
この記事では、グローバルコマースの意味やメリット、課題に加えて、Shopifyを使ったグローバル展開の方法を解説します。

グローバルコマースとは
グローバルコマースとは、国内だけでなく海外の顧客にも商品やサービスを販売する商取引全般のことです。海外現地での実店舗展開や、インターネットを通じて海外顧客に商品販売をする越境ECなど、世界規模で事業を運営できます。
グローバルコマースの4つのメリット
1. 新しい市場や顧客層を開拓できる
国内市場だけを対象とするビジネスは、顧客数や売り上げの上限がおのずと決まってしまいます。海外販売に乗り出すことで、国内では到達できなかった規模の顧客にアプローチできるようになります。
海外展開を検討する際は、越境ECの市場規模を確認し、どの国や地域で需要が見込まれるかを把握することが重要です。市場の大きさや成長性を踏まえて販売先を選ぶことで、より現実的な戦略を立てやすくなります。
たとえば、滋賀県発のライフスタイルブランドKINTO(キントー)は、Shopify Plus(ショッピファイプラス)を活用してアメリカやヨーロッパなどにECサイトを展開し、海外の顧客との接点を広げています。
2. 特定市場への依存リスクを減らせる
複数の国や地域に販路を持つことで、特定の市場に依存するリスクを下げやすくなります。販売先が国内だけに限られている場合、国内の景気後退や人口減少、自然災害、消費トレンドの変化がそのまま業績に響いてしまいます。一方で、海外にも販売先があれば、国内需要が落ち込んだ時期でも、別の国や地域の売り上げでカバーできる可能性があります。
こうした国内市場への依存を下げる動きは、中小企業にも見られます。栃木県の益子焼窯元である株式会社わかさま陶芸は、国内市場の縮小を背景に、海外販路の開拓に取り組みました。越境ECに対応したサイトの立ち上げや海外向けの商品掲載を進め、アメリカやオーストラリア、中国を対象に販売拡大を目指しています。
3. コストを下げやすい
グローバルコマースで販売量が増えると、商品1点あたりのコストを下げやすくなります。生産や仕入れの規模が大きくなることで、大口発注の割引が受けられたり、製造や物流の効率が改善しやすくなったりするためです。また、商品開発やブランディングなどにかかる固定費を、国内だけでなく海外の売り上げでも分担できる点もメリットです。
ただし、海外展開には翻訳や配送、カスタマーサポートなどの追加コストも発生します。こうした点も考慮して、販売量の拡大によってコスト削減効果を得られるのかを見極めることが大切です。
4. 日本発の需要を広げられる
グローバルコマースを活用すると、日本の商品に関心を持つ海外の顧客とECサイトでつながりやすくなります。日本の商品に興味を持つ理由は「日本で見た」「海外では手に入りにくい」などさまざまで、関心を持つ人は旅行者だけではありません。SNSや動画、口コミを通じて商品を知った人も、同じように「購入したい」と思うことがあります。
たとえば、食品やアパレル、工芸品といった日本ならではの商品は、特に海外から注目されやすいカテゴリーです。訪日外国人数が増えている今は、実際に日本を訪れた人が帰国後にSNSで発信し、来日したことがない人にも関心が広がるという流れも生まれています。

グローバルコマースの4つの課題
1. 各国の法規制や関税への対応
海外への販売には、輸出元の日本の規制だけでなく、輸出先の国の輸入規制や製品認証、禁輸品目などの確認が必要です。化粧品や食品、医療機器など規制が厳しいカテゴリーでは、現地の認証取得や成分の届け出が求められる場合があります。
また、関税は、輸出先によって税率と課税方法が異なります。購入者が商品到着時に予期しない関税を請求されると、受け取り拒否やクレームにつながるリスクがあります。このリスクを軽減するために、販売価格に関税をあらかじめ含めて表示するDDP(Delivered Duty Paid:関税込み持込み渡し)形式を採用する事業者も増えています。
ECプラットフォームのShopify(ショッピファイ)では、関税や輸入税を会計時に計算、徴収する設定が可能です。購入前に費用の目安を示せるため、商品到着時の想定外の請求による受け取り拒否や問い合わせを減らせます。
2. 言語と文化への対応
グローバルコマースでは、販売先の顧客が理解できる言語でECサイトを準備する必要があります。Statistaの調査(英語)では、インターネットユーザーのうち、日本語を使用しているのは約5%とされています。一方、英語話者も全体の約50%とされているため、海外販売では英語対応だけでなく、販売したい国や地域に合わせた言語対応が重要です。
言語対応に加えて、文化を踏まえたローカライズも大切です。各国の消費者は、自分たちの文化や購買習慣に合った購入体験を期待しています。特に数字や色彩がもつ文化的な意味には注意が必要です。たとえばアメリカでは「13」が不吉とされているように、何気ない数字や色の選択が購買意欲に影響することがあります。
3. 物流体制の整備
商品を海外の顧客に届けるには、国内とは異なるEC物流の体制を整備することが必要になります。グローバルコマースにおけるサプライチェーンの課題を乗り越えるために、以下のような対策を取り入れることが重要です。
- ニアソーシングの採用:調達先を消費地に近い地域に置く戦略で、輸送コストと在庫リスクを低減できます。
- 海外倉庫の設置:現地または近隣国に在庫を持つことで、配送日数を短縮し送料を抑えられます。
- サプライチェーン管理ツールの導入:在庫や注文、配送状況をリアルタイムで把握できるため、トラブルが発生した場合もすぐに対応できます。
- 3PL(サードパーティロジスティクス)の活用:国際物流の専門会社へ業務委託することで、保管や注文処理、配送などの業務負担を減らせます。
ShopifyはDHL、UPS、FedExをはじめとする国際配送サービスと連携しており、海外向け配送の手配を一元管理できます。
4. 多様な通貨と決済方法への対応
販売する国の通貨やその国で一般的に使われている決済方法への対応も必要です。海外の顧客は、自国の通貨で価格を確認し、決済できることを前提として購入判断を行います。日本円表示のみのECサイトでは、現地通貨への換算の手間が購入をためらわせる要因になります。
また、決済手段の好みも国によって異なります。クレジットカードが主流の国もあれば、電子ウォレットや銀行振込が一般的な国もあります。現地で使われていない決済手段しか対応していない場合、カゴ落ちの増加につながります。
こうした通貨と決済の両面に対応するには、各国の状況に合わせた設定が必要です。Shopifyでは、100以上の決済手段への対応と自動両替機能を提供しているため、国や地域に適したECサイトを構築できます。

Shopifyのグローバル展開サポート
Shopifyでは、グローバルコマースに対応したECサイトを運営できるよう、次のようなサポートを提供しています。
Shopify Markets
Shopify Markets(ショッピファイマーケット)は、ひとつのストアから複数の国や地域への販売を一元管理できる機能です。導入することで、次のようなメリットがあります。
- 多数の通貨と言語への対応:マーケットごとに販売地域に合わせた通貨や言語を設定できます。
- 税金と関税の自動計算:各国の税率や関税を会計時に自動で算出できます。
- マーケットごとの価格設定:地域ごとに販売価格や為替レートを調整することが可能です。
- ドメインの使い分け:マーケットごとに国別ドメインやサブパスを決められます。
Shopify Translate & Adapt
Shopify Translate & Adapt(ショッピファイトランスレート&アダプト)は、多言語・多地域向けにコンテンツを翻訳・調整するためのツールです。次のような特徴があります。
- 自動翻訳機能:商品説明やブログ、コレクションページなどを最大2言語まで無料で自動翻訳できます。
- 手動編集:自動翻訳された文章を後から自分の言葉で調整できます。
- 地域ごとの言い回し調整:同じ言語でも、地域に合わせて表現を変えられます。
Shopifyペイメント
Shopifyペイメントは、ストアの決済機能を担うサービスです。国際販売では次のような役割を果たします。
- 自動通貨換算:対応する決済サービスを利用している場合、マーケット設定に応じて商品価格を現地通貨で表示し、決済できます。
- 為替レートの自動更新:最新の為替レートが自動で反映されます。
- 多通貨での売り上げ管理:購入時に使われた通貨ごとの注文数や、売り上げを把握できます。
まとめ
グローバルコマースは、ECサイトを通じて実店舗や現地法人を持たずに海外の顧客へ販売できる取り組みです。新市場の開拓やコストの削減といったメリットがある一方、関税や言語、決済など、国内ECとは異なる課題への対応が必要です。
これらの課題に対応しながら、海外販売ができるECサイトを構築したいなら、Shopifyがおすすめです。Shopifyは関税対応、100以上の決済手段、多言語化アプリとの連携など、グローバル展開に必要な機能を備えています。無料体験も実施していますので、ぜひ一度お試しください。
グローバルコマースに関するよくある質問
グローバルコマースとは?
グローバルコマースとは、自国以外の顧客に商品やサービスを販売する商取引のことです。オンライン販売だけでなく、海外の実店舗や現地法人を通じた販売も含まれます。ECに絞ると、国境を越えて商品を販売する越境ECが代表的です。
グローバルECを始めるには?
まずはターゲット市場を決めましょう。その後、該当地域の輸入規制や関税、現地消費者が好む決済方法、配送方法などを調査します。調査を踏まえて小規模なテスト販売でニーズを確認し、需要が見込めると判断してから段階的に規模を拡大するアプローチが効果的です。
グローバルコマースではマーケティング戦略を変えるべき?
海外向けのマーケティングでは、国内と同じ施策をそのまま使わず、国や地域ごとに市場調査を行うことが重要です。使用される検索エンジンやSNSに加えて、好まれる訴求も市場によって異なるため、現地の専門家や翻訳者と連携し、広告文やブランド表現を調整しましょう。




