AIツールを活用することで、eコマース事業でも業務効率化や生産性の向上を期待することができます。一方で、多種多様なツールが登場している昨今は、求める機能や自社のニーズに合ったツールを見極めないと、効果的にはなりません。
この記事では、主要なAIツールの機能やコストとともに、eコマースにおける活用方法やツールを選ぶ際のポイントなどを紹介します。

eコマースにおけるAIツール活用のメリット
人工知能(AI)や機械学習のテクノロジーは、業務改善やコスト削減、そして売上の拡大に効果を発揮します。AIツールをeコマース事業に導入するメリットには以下のようなものがあります。
- 業務効率の向上:AIツールを活用することで、コンテンツ作成や、市場調査、ルーティン業務、カスタマー対応などの一部を自動化できます。これにより業務負荷を軽減し、ビジネスの成長に注力する余裕が生まれます。
- マーケティング効果の向上:AIマーケティングツールは、顧客の属性データや行動データを活用してターゲット層の深い分析をサポートし、訴求内容や配信方法を顧客の嗜好に合わせて最適化することができます。
- 顧客体験の向上:不満・要望への迅速な一次対応や、24時間体制のサポートを提供可能とするAIツールもあり、カスタマーサービスの改善に役立ちます。
- セキュリティの強化:不正行為の検知やオンライン決済の認証、サイバー攻撃対策をサポートするAIツールにより、ビジネスデータを保護し、ユーザーが安心して利用できる環境を強化することができます。
eコマース向けAIツール10選
1. ChatGPT
OpenAI(オープンエーアイ)が提供するAIチャットボット「ChatGPT(チャットジーピーティー)」は、商品説明、ブログ記事、SNS投稿、マーケティングメールなど、eコマースにおける多様なコンテンツの作成に役立ちます。また、市場調査やコンテンツ案のブレインストーミング、関連キーワードの抽出、SEO対策のためのコンテンツ最適化、既存コンテンツの校正・編集にも活用できます。
ChatGPTには、無料版と有料版が用意されています。無料版でも最新バージョンの大規模言語モデル(LLM)を利用できますが、5時間あたり10件までの制限があり、それを超えると軽量版モデルへ自動的に切り替わります。有料版ではこの制限が拡大されるほか、ファイルのアップロードや音声・画像生成などの機能も利用できるようになります。
上位プランでは、レポートをまとめるためのDeep Research(ディープリサーチ)や、作業を代行するエージェントモードなどの機能が拡張され、マーケティングから業務効率化まで幅広い用途に活用できます。
- 使用例:コンテンツ作成、リサーチ
- 機能:自然言語処理(NLP)機能、コンテンツ作成・校正・編集・翻訳、市場調査およびキーワードリサーチ機能など
- 価格:無料プランあり
Go:月額1,400円、Plus:月額3,000円、Pro:月額30,000円
Business:月額4,650円/人
2. Shopify Magic
Shopify Magic(ショッピファイ・マジック)は、Shopifyユーザー向けのAI機能であり、ECストアの顧客向けコンテンツの作成などが可能です。例えば、商品画像の背景を差し替えられるフォトエディターや、SEOに対応した商品説明、FAQの回答を作成できるコンテンツ生成ツールなどが利用できます。
アシスタント機能であるSidekick(サイドキック)は、ECサイト運営の自動化や、売上などのパフォーマンスデータの分析、クリエイティブ案のブレインストーミングなどをサポートします。Shopify Magicは、ご契約のプランに関わらず全Shopifyマーチャントが無料で利用できます。
- 使用例:メールスケジューリング、写真編集、コンテンツ生成
- 機能:商品説明文の生成、メールキャンペーン・FAQコンテンツの作成、AIアシスタント(チャットボット)によるユーザーサポート
- 価格:無料
3. ClickUp
ClickUp(クリックアップ、英語インターフェースだが日本語入力が可能)は、ワークフローを効率化するタスク・プロジェクト管理ツールです。有料プランのAI機能では、カスタマイズ可能なエージェント機能により、プロジェクトのステータス更新や、優先順位付け、各タスクの担当者割り当てなどを自動化することができます。
また、進捗の要約や文章作成支援なども可能となっています。このほかeコマース向けには、プロジェクト管理やマーケティング施策管理の最適化されたテンプレートなども用意されています。
- 使用例:プロジェクト管理
- 機能:カスタマイズ可能なプロジェクト管理、24時間体制のカスタマーサポート、チャットによるコミュニケーション機能
- 価格:無料プランあり
UNLIMITED:月額10ドル(約1,539円)、BUSINESS:月額19ドル(約2,924円)
ENTERPRISE:要問い合わせ
4. AnyX
AnyX(エニーエックス)は、ECモールや自社サイトなど複数チャネルの運営をまとめて管理できるeコマースストアのマネジメントプラットフォームです。越境ECや海外販売を支援するソリューションも用意されています。AIによるレビュー分析機能が提供されており、大量の顧客レビューから重要な意見や傾向を抽出し、商品の改善企画やマーケティング計画に活用できます。
- 使用例:運営サイトの一括管理、顧客レビューからのインサイト抽出、商品改善・マーケティング施策の最適化
- 機能:生成AIによるレビュー要約、レビュートピック分析(重要キーワード・トピック抽出)、感情分析(ポジティブ、ネガティブ)、競合比較レビュー分析など
- 価格:要問い合わせ
5. CapCut
CapCut(キャップカット)は、動画コンテンツを簡単に作成・編集できるAI搭載動画アプリケーションです。テキスト、画像、音声をもとにオリジナルの動画を生成できます。また、AI編集機能では字幕・音声の追加や、不要オブジェクトの削除などを自動的に行うことも可能です。SNSマーケティング動画、広告、製品紹介動画、教育・研修用動画などを作成できます。
- 使用例:AIを活用した動画生成、動画編集
- 機能:動画生成、テンプレートによる簡単編集、AI音声生成・字幕自動作成、動画スタイル変換、音声クリーニング・音量自動調整など
- 価格:無料プランあり(iOS/Android、デスクトップ版、Web版)
CapCut Pro:月額2,180円
6. 文賢
文賢(ぶんけん)は、ビジネスオーナーが文章作成を効率化し、品質を向上させるためのAIライティング支援ツールです。文章チェックや校正機能を備え、文章の読みやすさの改善や誤字脱字の修正をサポートします。また、表現の確認によって炎上などの「ネット上のトラブル」を事前に防止するためにも活用できます。また、文章のトーンやスタイルを分析し、ブランドアイデンティティに沿った一貫性を保つことも支援します。
使用例:コンテンツ・広告文・メール文章の作成と校正
機能:誤字脱字・文法チェック、読みやすさ・論理構造分析、トーン・文章スタイルの提案
、複数ユーザーでの共同編集・校正、過去文章の再利用・修正履歴管理
価格:月額2,178円
7. SmapraTracker
SmapraTracker(スマプラトラッカー)は、eコマース事業者向けに設計された競合価格監視・価格最適化ツールです。調査したい条件をAIに依頼することで、複数のECモールから価格や販売データを継続的に収集することができます。自動レポート作成機能により比較や確認がしやすい形式で一覧化されるほか、自社に適切な価格を提示する機能なども備えているため、効率的に競合調査や価格設定の意思決定が行えます。
- 使用例:ECサイトの商品価格の最適化、競合価格の自動監視
- 機能:競合価格の自動収集・分析、複数モールの価格比較、自動レポート作成
- 価格:登録する商品数および追跡するサイト数による
URL上限数100の場合、月額5,000円
8. Zendesk
Zendesk(ゼンデスク)は、顧客サポート業務を効率化できるカスタマーサービスプラットフォームです。チャットボットやAI支援ツールを活用することで、eコマースの問い合わせ対応の自動化やサポート担当者の作業効率向上ができます。顧客からの問い合わせ内容を分析し、適切な回答を自動で提示したり、必要に応じて有人対応へスムーズに切り替えることができます。メール・チャット・音声通話・SNSなど複数チャネルに対応し、24時間体制のサポートを構築可能となります。
- 使用例:顧客問い合わせ対応の自動化・効率化
- 機能:AIチャットボットによる自動応答、サポート担当者への回答案の提案、メール・チャット・電話・SNSなどのマルチチャネル対応、問い合わせデータ分析・レポート作成
- 価格:14日間の無料トライアルあり
Suite Team(AI搭載):月額55ドル(約8,457円)
9. Repro
Repro(リプロ)は、顧客行動を分析し、コンバージョンを向上させるために設計されたAI駆動型のマーケティング・プラットフォームです。eコマースでは例えば、ユーザーの行動データをリアルタイムで分析し、最適なタイミングでパーソナライズされたメッセージやレコメンドを提供します。これによって、顧客満足度の向上や売上増加につなげることができます。
- 使用例:ECサイトでの製品推奨、顧客へのパーソナライズメッセージの配信
- 機能:製品推奨、顧客行動データの収集・分析、A/Bテストによる施策効果検証、クロスセル・アップセル施策の自動化
- 価格:要問い合わせ
10. Shirofune
Shirofune(シロフネ)は、ビジネスオーナーやマーケターがWeb広告の運用を効率化するためのツールです。キーワード選定や入札、予算配分の最適化などをサポートします。またAI機能では、広告クリエイティブのパフォーマンスを評価し、改善案を自動提案します。クリック率・獲得率などの定量データをもとに、差が出る要因を分析してくれるため、広告戦略の精度向上を期待することができます。
使用例:広告運用の効率化、クリエイティブ改善など
機能:AIクリエイティブ分析、自動の改善提案、キーワード・検索クエリ最適化支援、自動入札・予算配分の最適化
価格:2か月の無料トライアルあり
ツール利用料=月額広告費×5%
まとめ
eコマース向けAIツールを上手く活用できれば、業務効率化、マーケティング強化、顧客体験の向上、セキュリティ対策など、EC運営のあらゆる場面で力を発揮してくれます。ただし多様なツールが登場しているため、自社の課題に合ったツールを選ぶことが、成果につながる重要なポイントです。限られたリソースで成長を目指す起業家にとって、売上向上とコスト削減を同時に実現できるAIツールの活用は大きな武器になるでしょう。
eコマース向けAIツールに関するよくある質問
小規模なEC事業者でも、AIツールを導入するメリットはある?
AIツールを活用すれば、新たに人材を雇用することなく、コンテンツ作成、広告運用、データ分析などを効率化できます。限られたリソースで運営する起業家や小規模EC事業者ほど、効果を実感しやすいといえるでしょう。
eコマース向けAIツールは、どの業務に導入するのがおすすめ?
売上や工数に直結しやすいコンテンツ作成(商品説明・広告文)、広告運用などから導入するのが良いでしょう。Shopifyが無料で提供している、Shopifyユーザー向けの無料AIツールShopify Magicを試してみましょう。
eコマース向けAIツールを選ぶ際に、重視すべきポイントは?
自社の課題(売上改善、コスト削減、業務効率化など)に合った機能があるかどうかと、既存のECシステムやツールと連携できるかが重要です。価格だけでなく運用し続けられるかどうかも大切な判断基準です。
文:Miyuki Kakuishi





