靴のネット販売を行う場合、写真の撮り方次第で売れ行きが大きく変わります。オンライン上では実物を手に取れないからこそ、写真のクオリティが購買判断に直結するためです。
本記事では、撮影角度や背景、便利な撮影アイテムの使い方などを踏まえ、靴の写真の撮り方を10ステップで解説します。スニーカーなどの靴の写真の撮り方や物撮りの方法で悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
目次
1. 撮影前に靴の状態を整える
撮影に使用する靴は、糸のほつれやすり傷など、見た目の印象を損なう傷や汚れがないかを事前に確認しましょう。ECサイトやSNS、カタログなどで顧客が最初に目にする商品写真は、第一印象に直結するためわずかな欠点でも評価を下げてしまう可能性があります。
靴の形をきれいに見せるためには、丸めた紙などを靴の中に詰めて、実際に履いているときのような立体感を演出します。ブーツの場合は、足首部分に段ボールチューブや薄紙を入れておくと、形が崩れずきれいなシルエットを保てます。
ハイヒールやサンダルにストラップがついている場合は、ストラップを留めた状態にして、透明なプラスチックなどで支えると、靴本来の形を自然に見せることができます。なお、靴の形を保つために使用した小道具は、撮影後の編集で消すことも可能です。
2. 撮影スタイルを選ぶ
靴の撮影でよく用いられる撮影スタイルには、主に以下のようなパターンがあります。
- 白い背景の使用: 白いシーツやキャンバス布、撮影ブースなどを使って、単色の背景を作成します。商品の背景をシンプルにすることで、対象商品を際立たせることができます。
- 平置き撮影: 平らな面に靴を置いて、真上から撮影する手法です。顧客が足元を見下ろしたときの視点に近いため、実際の使用イメージを伝えやすくなります。
- 使用シーンの演出:ランニングシューズであれば陸上トラック、カジュアルスニーカーであれば街中、高級ハイヒールやドレスシューズであればシックなバーなど、靴を実際の使用シーンに合わせて撮影をする日常写真も効果的です。
DIANAは、真っ白な背景とリボンの中央に真っ赤なヒールを配置することで、視線を引きつける構図を採用しています。
3. ライティングを工夫する
靴の撮影において、ライティング(照明)は仕上がりを大きく左右する重要な要素です。ポリッシュレザー、スエード、キャンバスなど、素材によって光の反射や吸収の仕方が異なるため、いろいろな光の強さや当て方を試しながら調整することがポイントです。
靴の撮影で使用される主なライティングは以下のとおりです。
- 自然光:日常写真の撮影には、手軽で自然な自然光が適しています。撮影する時間帯によって印象が大きく変わるのが特徴で、日の出・日没前後のゴールデンアワーは暖かみのある色合いに、日没直後のブルーアワーは寒色系の色合いに仕上がります。日光が斜めから差し込む10〜11時・13〜14時ごろは、明るい撮影が可能です。
- スタジオ照明:スタジオでの撮影では、三点照明による光の調整が基本です。メイン照明のフィルライト、強すぎる影を和らげるフィルライト、輪郭を際立たせるバックライトで構成され、全体を均一に照らすことでバランスの良い仕上がりを再現できます。
- フラッシュ: コントラストの強い表現や、深い影を演出したい場合はフラッシュを使用します。カメラ上部のホットシューに装着するほか、スタンドに設置して外部から発光させることも可能です。常時点灯する照明とは異なり、シャッターを切る瞬間だけ発光するため、最適な設定を見つけるには試し撮りが必要です。
REGALは、オールブラックのシューズに対して光と影を強調したライティングを用いることで、美しいシルエットや細やかなステッチ、上質なレザーの質感を際立たせています。暗部を活かした陰影表現により、立体感と高級感を効果的に引き出している点が特徴です。
4. 使用するカメラを選ぶ
SNS向けのカジュアルな靴の写真であれば、スマートフォンでも十分に高画質な撮影が可能です。
しかし、ECサイトの商品ページなど、より高品質でプロフェッショナルな写真が必要な場合は、質感やディテールをより精細に表現することが可能なデジタル一眼レフカメラやミラーレスカメラが適しています。用途や予算に応じて適切な機種を選びましょう。
5. レンズを選ぶ
レンズを選ぶ際は、カメラ本体に対応しているかを確認したうえで、撮影目的に応じた焦点距離を選ぶことが重要です。焦点距離は写真の写る範囲(画角)やボケ感に大きく影響するため、レンズ選びの基本となる要素です。
たとえば、50mm前後のレンズは、人間の視野に近い自然な画角を再現できるため、商品撮影においても扱いやすくなっています。また、撮影スペースや表現したい奥行きに応じてレンズを使い分ける場合は、50mmから200mmの範囲で用意しておくと良いでしょう。
素材の質感や細部を強調したい場合は、マクロレンズが最適です。被写体に近づいて撮影できるため、ロゴや質感などのディテールをより鮮明に表現しやすくなります。
6. カメラの設定を最適化する
カメラの設定を変えることにより、写真の表現をコントロールすることができます。明るさやピントの合う範囲に影響するF値(絞り値)を中心とした調整が基本で、マニュアルモードでは他にシャッタースピード・ISO感度を変更できます。絞り優先モードは、設定したF値に合わせて自動調整してくれます。
靴の撮影では、F8〜F11程度に設定することで被写界深度が深くなり、商品全体にピントを合わせやすくなります。ただし、F値を上げると取り込める光量は減るため、シャッタースピードやISO感度と組み合わせて露出を調整することが重要です。
7. さまざまな角度から撮影する
顧客は実物を手に取って確認できないため、EC撮影では特に、できるだけ多くの角度から商品を確認できるようにすることが重要です。
基本として、正面・側面・斜め・真上などのカットを揃えることで、商品の形状やデザインを立体的に伝えることができます。とくに、斜め45度の角度は奥行きや立体感を表現しやすく、商品写真の基本的なアングルとされています。
見せたいポイントに応じて角度を使い分けることも重要です。たとえば、全体の雰囲気を伝える場合は真上からの撮影、デザインやロゴ、ソールの厚みなどの特徴を強調したい場合は側面からの撮影が適しています。
また、360度のGIF画像を作成することで、全方向からの見え方を、より直感的に伝えることが可能です。360度のGIF画像を作成する手順は以下のとおりです。
- ひとつの角度から写真を撮る
- 靴の向きを少しずつ回転させ、同じ構図で撮影する
- 一回転するまで繰り返す
- 撮影した写真をまとめて、画像編集ソフト・アプリでGIF形式に変換する
8. 小道具を取り入れる
小道具を活用することで、靴の素材感やカラーを効果的に引き立て、商品の魅力を高めることが可能です。一緒に撮影する小道具はブランドガイドラインに沿って選ぶことで、その世界観をより深く表現できます。
小道具を使用する際は、統一感を意識することが重要です。要素が多すぎると主役である靴の印象が弱まるため、全体のトーンやテイストを揃え、小道具は商品を引き立てる役割に留めましょう。
まずは複数の小道具を用いて撮影し、不要な要素は編集で削除することも可能です。写真編集ソフトやShopify Magic(ショッピファイマジック)のようなAI背景除去ツールを活用することで、最適なビジュアルに仕上げることができます。
Allbirdsは、デザートなどの遊び心のある小道具を取り入れることで、スニーカーに楽しさとアクセントを加え、ブランドの軽やかな世界観を表現しています。
9. ピントを工夫する
商品写真は全体にしっかりとピントを合わせて撮影することが一般的ですが、表現によっては意図的にぼかしを取り入れる方法も有効です。
たとえば、ロゴなど特定のディテールを強調したい場合は、その部分のみにピントを合わせ、周囲をぼかすことで視線を集中させることができます。これにより、細部や素材感をより印象的に伝えることが可能です。
10. 画像を編集する
撮影後は、靴の画像を画像編集ソフトに取り込み、背景の除去や、フィルターの適用、露出調整、トリミング、サイズ変更などの編集を行います。
サイズや背景、色味、露出を統一することで、商品ごとの見え方に一貫性が生まれ、商品ページ全体の品質向上につながります。また多くの画像編集ソフトに備えられているプリセット機能を設定しておけば、複数の画像に同じ補正を簡単に適用することが可能です。
Adobe Photoshop(アドビ フォトショップ)やLightroom(ライトルーム)などのプロ向けの有料ソフトから、無料のオンラインツールまで幅広く存在します。Shopifyのメディアエディタをはじめとするオンライン画像編集ツールは、場所を問わず利用できるため、編集作業の効率化に役立ちます。
まとめ
靴の写真撮影では、撮影スタイルの選定からライティング、カメラ設定、構図、編集に至るまで、戦略的な設計が重要です。白背景や平置き撮影で商品の特徴を明確に伝える以外にも、使用シーンの演出や小道具の活用によって、ブランドの世界観や利用イメージを補完できます。
また、角度やカット数を工夫し、細部や全体像を漏れなく見せることで、オンライン上でも実物に近いイメージを伝えることができます。ピントやぼかしの使い分けにより視線誘導を行い、強調したいポイントを的確に伝えることも効果的です。
撮影後に画像編集を加えることで、商品ページ全体の品質が高まります。これらの工程を適切に組み合わせることで、商品の魅力を最大限に引き出し、顧客の購買意欲の向上につなげることができます。
靴の写真の撮り方に関するよくある質問
靴の写真を魅力的に撮るための機材や設定は?
魅力的な靴の写真を撮るためには、デジタル一眼レフカメラやミラーレスカメラ、三脚、焦点距離50〜200mm程度のレンズ、三点照明などの機材を使用しましょう。また、構図や角度、ピントの調整を工夫することで、靴のディテールや質感を際立たせることが可能です。
靴の写真にはどのような撮影スタイルがある?
靴の写真には、白い背景の使用や平置き撮影、使用シーンの演出などの撮影スタイルがあります。靴に紙を詰めて形を整えたり、小道具なども添えたりすることで、商品ページに多様な質感や華やかさを加えることもできます。
靴の写真の撮り方に最適な照明は?
靴の写真撮影では、商品の魅力を正確に引き出せる照明が重要です。たとえば、使用シーンを演出する撮影では自然光が適しており、白い背景や屋内撮影では人工照明の使用が効果的です。スタジオ撮影では、三点照明を取り入れることで、影を抑えつつ均一な明るさで撮影できます。
文:Momo Hidaka





