ワインが好きで、その知識やこだわりを生かしたビジネスを始めたいと考えているなら、ワインのネット販売に挑戦してみてはいかがでしょうか。
ワインは酒類にあたるため、一般的なネットショップの開業準備とは別に、ワイン販売免許の取得などの準備が必要になります。また、国産ワインと輸入ワインでは、仕入れや販売に関するルールも異なります。
この記事では、ワインのネット販売ビジネスを始める手順をはじめ、仕入れ時の確認事項、必要な免許や注意点、販売を成功させるためのポイントをわかりやすく解説します。

ワインのネット販売ビジネスを始めるための6つの手順
1. 販売するワインとショップの方針を決める
まず、どのようなワインを、誰に販売するのかを決めます。たとえば、国産ワインを中心に扱う、ナチュラルワインに特化する、特定の産地や品種をそろえるなど、商品の方向性を考えます。あわせて、ワイン初心者、愛好家、ギフトを探している人など、主な顧客層を整理しましょう。取り扱うワインや顧客層、ショップの特徴を明確にすることは、ブランド構築の土台にもなります。
その上で、商品リサーチや競合分析を行い、需要のある商品や価格帯、ほかのショップの品ぞろえやサービスなどを確認します。自店ならではの特徴を反映させた価格設定を行い、売上や利益の目標を含めた事業計画を立てましょう。
2. ワインの仕入れ先を確保する
ワインを販売するための免許を取得する前に、必ず仕入れ先を確保する必要があります。
免許申請時に仕入れ先を特定する必要があるため、免許だけ先に取得し、後から仕入れ先を決める、ということはできません。
仕入れ先を探すには、ワインの展示会や試飲会、業界向けの商談会などに参加し、国内ワイナリーや酒類卸売業者、輸入業者に相談するという方法があります。ほかに、取り扱いたいワインを販売している店舗やECサイトを調べ、商品ラベルなどから製造者や輸入元を確認して問い合わせる方法もあります。
ワインの仕入れ先には、主に次の選択肢があります。
- 国内ワイナリー:造り手から直接、商品の特徴や製造方法、産地などの情報を得られる場合、商品ページや特集記事の作成に生かせます。通信販売酒類小売業免許で販売できる国産酒類に該当するかどうかを確認しましょう。
- 国内の酒類卸売業者や輸入業者:複数のワイナリーや産地の商品を扱う事業者を利用すれば、複数の商品をまとめて仕入れられる場合があります。
- 海外のワイナリー:海外の生産者と直接関係を築くことで、国内での流通が限られている商品を扱える場合があります。一方で、取引条件の交渉や発注、海外送金、輸送の手配などを自社で行う必要があります。
- 海外の販売会社や輸出業者:複数の海外商品をまとめて選べる場合があります。取扱商品、価格、発注数量や輸送条件などを確認しましょう。
3. 通信販売酒類小売業免許を申請する
販売するワイン、仕入れ先、販売場が決まったら、販売場の所在地を管轄する税務署に通信販売酒類小売業免許を申請します。申請には、販売場の図面、収支見込み、資金計画、仕入れ先や販売方法などを示す書類が必要です。
免許申請の標準処理期間は、原則として申請から約2か月です。余裕を持って申請し、手続きを進めましょう。
4. ECサイトを作成する
ショップのデザイン、商品カテゴリ、決済方法、在庫管理や配送方法などを設定します。
ワインは種類が多いため、色、産地、ブドウ品種、価格帯、味わい、利用シーンなどから商品を探せるようにすると便利です。商品ページには、容量やアルコール度数などの基本情報に加え、香り、酸味、甘味、渋味、ボディ、料理との相性などを掲載しましょう。
また、20歳未満への販売を防ぐための年齢確認や、酒類販売管理者標識などの必要な表示も設定します。
5. 梱包、配送体制を整える
ワインは瓶が割れやすく、温度変化によって品質に影響が出る場合があります。瓶を固定できる配送箱や緩衝材を用意し、夏季はクール便の利用も検討しましょう。
梱包は、商品を安全に届けるだけでなく、購入者の開封体験にも関わります。ワインの説明カード、保管方法や飲み方の案内、ショップからのメッセージなどを同封すると、商品やブランドについてより詳しく伝えられます。
ギフト販売を行う場合は、ラッピング、のし、メッセージカードなどへの対応も決めます。また、破損や液漏れが発生した場合の交換、返金方針も、事前に整えておきましょう。
6. 集客を始める
ECサイトの公開後は、SEO、SNS、メルマガ、広告などを活用し、顧客獲得につなげます。
料理に合うワインや初心者向けの選び方など、顧客の疑問に答える記事を作成すると、検索から商品を知ってもらうきっかけになります。SNSでは、商品写真だけでなく、料理との組み合わせや生産者のストーリーなども発信しましょう。

ワインのネット販売に必要な免許と手続き
ワインのネット販売を始めるには、販売場ごとに通信販売酒類小売業免許を取得し、酒類販売管理者を選任する必要があります。ここでは、全国など広い地域に向けて販売する場合に必要な免許と手続きを解説します。
通信販売酒類小売業免許
2都道府県以上の広い地域の消費者を対象にワインをネット販売するには、通信販売酒類小売業免許が必要です。インターネットやカタログなどを通じて商品を案内し、オンラインなどで注文を受けて酒類を販売するための免許です。
通信販売酒類小売業免許は、酒類を販売する拠点である「販売場」ごとに取得します。申請先は、販売場の所在地を管轄する税務署です。
実店舗でワインを販売する場合は、一般酒類小売業免許が必要です。一般酒類小売業免許では、販売場と同じ都道府県内の消費者を対象とする通信販売も行えますが、2都道府県以上の広い地域を対象とする通信販売は行えません。
すでに一般酒類小売業免許を持つ実店舗が、同じ販売場から全国向けのネット販売も始める場合は、既存の免許に付いている通信販売に関する条件を緩和する手続きを行います。
通信販売酒類小売業免許の審査要件
通信販売酒類小売業免許を取得するには、申請書や添付書類を提出し、主に次の4つの要件について審査を受けます。
- 人的要件:過去に酒類販売業免許を取り消されていないことや、酒税法などに関する一定の違反歴がないこと
- 場所的要件:販売場が、ほかの酒類販売場や飲食店などと明確に区分され、販売業務を適切に管理できる場所であること
- 経営基礎要件:税金を滞納しておらず、事業を継続できる資金、経営能力、酒類の販売経験や知識などがあること
- 需給調整要件:販売する酒類や仕入れ先、販売方法などが、通信販売酒類小売業免許で認められたものであること
書類の準備や審査には時間がかかるため、所轄の税務署に相談して余裕をもって手続きを進めましょう。
通信販売酒類小売業免許で販売できるワイン
国産ワイン
販売できる国産ワインは、原則として、前会計年度における酒類の品目ごとの課税移出数量が、すべて3,000キロリットル未満である製造者のものに限られます。
この基準は、販売したいワインだけでなく、その製造者が扱うすべての酒類の品目ごとに判定されます。国産ワインを仕入れる際は、通信販売酒類小売業免許で販売できる商品かどうかを製造者や仕入れ先に確認しましょう。免許申請時に、製造者が発行する酒類の課税移出数量等に関する証明書の提出が必要です。
輸入ワイン
輸入ワインには、国産酒類に設けられている3,000キロリットル未満という数量制限はありません。国内の酒類卸売業者や輸入業者から仕入れた輸入ワインは、通信販売酒類小売業免許の範囲で販売できます。
ただし、海外から自社でワインを直輸入してECサイトで販売する場合は、通信販売酒類小売業免許とは別に、食品等輸入届出、通関、日本語ラベルの作成などの手続きが必要です。
酒類販売管理者の選任
ワインのネット販売を始める際は、販売場ごとに酒類販売管理者を選任します。酒類販売管理者は、20歳未満への販売防止や適切な表示など、法令に沿った販売が行われるよう、事業者への助言や従業員への指導を行う担当者です。
酒類の販売業務に従事し、過去3年以内に酒類販売管理研修を受講した人を選任します。選任後は2週間以内に所轄の税務署へ届け出て、その後も3年を超えない期間ごとに研修を受講させる必要があります。
また、ECサイトには販売場として、管理者の氏名や研修の受講年月日、次回の受講期限などを記載した標識を掲示します。

ワインのネット販売を成功させるポイント
商品を検索しやすくする
ワインは、色、産地、ブドウ品種、味わい、価格帯など選択肢が多いため、購入者にとって目的の商品を探しやすいカテゴリや検索フィルターを整えましょう。「肉料理に合う」「初心者向け」「ギフト向け」など、ワインの知識がなくても選べる分類を用意すると、購入時の迷いを減らせます。
味わいを具体的に伝える
ECサイトでは試飲ができないため、味わいを具体的に想像できる商品説明が重要です。甘口、辛口、ボディ、酸味、渋味、香りなどを、図やチャートで表すのもよいでしょう。相性のよい料理、適切な温度、おすすめの飲用シーンも紹介すると、購入後の楽しみ方をイメージしやすくなります。
ワインを選びやすいセットを作る
ワインは種類が多く、1本ずつ比較して選ぶことが難しい商品です。産地別の飲み比べセット、季節のおすすめセットなど、目的に合わせた組み合わせを提案しましょう。購入者が選びやすくなるだけでなく、複数本の購入による客単価アップも期待できます。
ギフト需要に対応する
ワインは誕生日や記念日、季節の贈り物などにも選ばれやすい商品です。ラッピング、のし、メッセージカード、配送日時指定などに対応しましょう。
贈り主と届け先が異なる注文では、金額のわかる納品書を同梱しないなど、ギフト向けの配送ルールも整える必要があります。
また、メッセージアプリやEメールで贈れるオンラインギフトを導入するのもいいでしょう。
生産者や産地の背景を伝える
味わいに加えて、ワイナリーや産地に関する情報も、購入者が商品を選ぶ際の判断材料になります。ワイナリーの歴史、造り手の思い、産地の気候、ブドウの栽培方法、製造工程などを紹介しましょう。ワインは、味だけでなく背景や物語も購入理由になりやすい商品です。商品ページや特集ページ、ブログなどで丁寧に伝えることで、競合と価格だけでは比較されにくい独自の世界観を持つショップを作ることができるでしょう。
定期便を取り入れる
ワインのECサイトのビジネスモデルでは、定期便もよい選択肢になります。毎月異なるワインを届ける定期便は、新しい銘柄との出会いを求める購入者と相性のよい販売方法です。
価格帯、産地、味わいなどでコースを分けると、購入者の好みに合った提案がしやすくなります。一度の購入から継続購入につながるため、売上の安定化にも役立ちます。

ワインをネット販売するときの注意点
20歳未満への販売を防止する
酒類の通信販売では、商品ページや広告などに「20歳未満の飲酒は法律で禁止されている」または「20歳未満には酒類を販売しない」旨を表示します。
注文画面には購入者の年齢を入力する欄を設け、その近くにも注意書きを表示します。納品書など、購入者へ交付する書類にも、20歳未満の飲酒防止に関する表示が必要です。
さらに、ECサイトでは、トップページへの訪問時に年齢確認のポップアップを表示し、20歳以上であることを確認する仕組みを導入するのも有効な手段です。
酒類の通信販売に必要な情報を表示する
ECサイトには、酒類販売管理者の氏名や販売場の名称、所在地など、酒類の通信販売に必要な情報を表示します。
酒類販売管理者の氏名や研修の受講年月日などを記載した標識は、ECサイト上ではなく、免許を受けた販売場の見やすい場所にも掲示します。
ワインの品質を保てる環境で管理する
ワインは高温や直射日光、急激な温度変化などによって品質が変化することがあります。仕入れ後から発送まで、日光が当たらず、温度変化の少ない適切な環境で保管しましょう。
発送時は、瓶を固定できる専用箱や緩衝材を使用し、破損や液漏れを防ぎます。夏季はクール便を利用するなど、季節や配送地域に応じた配送方法を検討することも大切です。
日本ワインの表示基準を確認する
国内で流通するワインには、「果実酒等の製法品質表示基準」による表示ルールが設けられています。この基準では、ワインを「国内製造ワイン」と「輸入ワイン」に区分し、国内製造ワインのうち、国産ブドウのみを原料として日本国内で製造されたものを「日本ワイン」としています。
日本ワインには、地名、ブドウの品種、収穫年などを表示する場合の厳格な基準も設けられています。商品ページや広告に産地や品種を掲載する際は、商品のラベルや製造者から提供された情報を確認し、購入者に誤解を与えないよう正確に表示しましょう。
輸入ワインは輸入手続きと表示に対応する
海外から販売目的でワインを輸入する場合は、食品衛生法に基づき、検疫所へ食品等輸入届出書を提出します。届出後は、食品衛生法に適合しているか審査を受け、必要に応じて検査を行います。輸入届出をしていないワインは、国内で販売できません。
また、輸入ワインを国内で販売する際は、日本の表示基準に沿った日本語ラベルが必要です。輸入ワインには「輸入ワイン」であることと原産国を表示します。
そのほか、輸入者情報、内容量、アルコール分、添加物など、商品に応じた表示事項を確認しましょう。
ワインのネット販売に適したShopifyテーマ3選
1. Winery

Wineryは、Shopify(ショッピファイ)テーマ「Area」のワインショップ向けプリセットです。年齢確認や商品クイックビューなどの機能が標準で備わっており、追加でアプリをいれる必要がありません。直線的で、モダンなレイアウトにより、高級感のあるサイトを作ることができます。
2. Oakland

Oaklandは、Shopifyテーマ「Vincent」のワイン販売向けプリセットです。産地などで商品を絞り込めるほか、酸味や甘味、ボディなどを視覚的に伝える味覚チャートを利用できます。
3. Lively

Livelyは、Shopifyテーマ「Local」の食料品や飲料向けのプリセットです。店舗受取サービスが備わっているため、ECサイトと実店舗を併用するショップに適しています。
まとめ
ワインのネット販売を始めるには、商品の選定やターゲット設定、仕入れ先の確保、通信販売酒類小売業免許の取得、ECサイトの構築、保管や配送体制の整備を進めます。ワイン販売のための免許申請には時間がかかるため、早めに準備を開始し、複数の作業を並行して進めましょう。
販売後は、産地や味わいから商品を探せるようにしたり、料理との相性や生産者の背景を伝えたりすることで、購入者が自分に合ったワインを選びやすくなります。また、セット販売やギフト、定期便など、ワインと相性のよい販売方法を取り入れることも効果的です。
Shopifyでは、商品管理、決済、配送、在庫管理など、ワインECの運営に必要な機能をまとめて管理できます。ワイン販売に適したテーマやアプリも活用できるため、ブランドの世界観と購入しやすさを両立したECサイトを構築できます。
ワインのネット販売に関するよくある質問
個人でもワインをネット販売できますか?
個人でも、通信販売酒類小売業免許の要件を満たせば、ワインをネット販売できます。法人であることは必須ではありません。
ただし、販売場や仕入れ先、資金計画、販売方法などについて審査を受ける必要があります。開業準備を始める前に、販売場の所在地を管轄する税務署へ相談しましょう。
ワインの販売に資格は必要ですか?
ワインを販売するには、販売方法に応じた酒類販売業免許が必要です。ECで販売する場合は、通信販売酒類小売業免許が必要です。ソムリエやワインエキスパートなどの資格は必要ありません。
また、免許に加え、販売場ごとに、過去3年以内に酒類販売管理研修を受講した人を酒類販売管理者として選任する必要があります。選任後も、3年を超えない期間ごとに研修を受講させる必要があります。
通信販売酒類小売業免許の取得には、どのくらいの期間と費用がかかりますか?
通信販売酒類小売業免許の標準処理期間は、原則として申請から2か月以内です。ただし、書類の追加提出や修正にかかった期間は含まれないため、実際にはさらに時間がかかる場合があります。また、免許が付与される際には、1件につき3万円の登録免許税がかかります。申請書類の準備にも時間が必要なため、販売開始予定日から逆算して余裕を持って手続きを進めましょう。




