Temu(テム)は、近年、日本でも利用者が増えているECプラットフォームです。Sensor Towerのレポートによると、2025年10月時点でTemuの世界累計ダウンロード数は12億を突破し、2025年8月の世界月間アクティブユーザーは5.3億に達したといいます。
一方で、「Temuで商品を売るにはどうすればいいのか」「他のECモールと何が違うのか」「日本の事業者でも出店できるのか」といった疑問を持つ人も少なくありません。低価格での販売を重視するなど独自性の高いプラットフォームのため、特徴を理解せずに出店すると、想定とギャップを感じることもあります。
そこでこの記事では、Temuの基本的な仕組みから出店方法、販売時に意識したいポイントまでを、日本の事業者向けにわかりやすく整理します。

Temuとは
Temuは、中国のEC企業グループであるPDDホールディングスが運営する、低価格の商品を中心に扱うECプラットフォームです。アパレルや雑貨、日用品など幅広いジャンルの商品を格安で購入できることを特徴に、近年は日本でも利用者が増えています。
価格競争を特に重視しており、同種の商品に対してサプライヤーが入札して仕入れ額の低い業者と契約、発送も含めてTemuが中国にある倉庫から行う「フルホスティングモデル」という仕組みをとっていました。同じく中国発の低価格ECサービスといえばアリババグループのAliExpress(アリエクスプレス)も有名ですが、こちらは販売者が自由に商品を出品できるマーケットプレイス型のプラットフォームです。
ただし、現在はTemuも日本や東南アジア向けにマーケットプレイス方式(セミホスティングモデル)を取り入れています。その場合も低価格という特徴は維持しており、集客のために割引やセールを頻繁に実施しています。Temuは出店者が商品価格をコントロールしづらい側面があるため、「自社ブランドを育てたい事業者」よりも、価格競争力のある商品を安定して供給できるメーカーや卸売事業者に適した販売チャネルと言えます。
なお、Temuについては、個人情報の取り扱いや製品の安全性などをめぐり、海外メディアや一部の地域で懸念が指摘されたこともあります。一方で、現在も多くの国・地域でサービスが継続されており、実際に利用者・販売者が存在する大規模なECプラットフォームであることも事実です。
Temuに出店するメリット
- 低価格を重視するユーザーが多く、集客力が高い
- 海外での知名度が高いため、越境ECの足がかりになる
- 登録料・月額費用がかからず、始めやすい
- 価格競争力のある商品であれば露出を得やすい
- 在庫を動かしたい商品や回転重視の商品と相性が良い
- 自社ECやAmazonと組み合わせたマルチチャネル運用ができる
Temuに出店するデメリット
- 価格競争が激しく、利益率を確保しにくい
- ブランドや世界観を訴求する販売には向いていない
- 返品・返金対応が発生しやすく、品質管理の重要性が高い

Temuに出店する方法
Temuに出店するには、販売者として登録を行い、簡単な審査を受ける必要があります。Temuへの出店は以前は招待制でしたが、2025年6月から日本の事業者も自分で申請して登録できるようになりました。登録にかかる手数料は無料です。ここでは、Temuの出店者になるまでの基本的な流れと、必要な書類について初心者向けに解説します。
1. アカウントの作成
まずは、Temuの販売者向けページからアカウントを作成します。
メールアドレスやパスワードを設定し、販売者としてログインできる状態にします。
2. ビジネス情報の入力
アカウント作成後、販売者の実態を確認するため、本人確認や事業確認に関わる情報の入力が求められます。事前に必要な情報をそろえておくことで、登録手続きをスムーズに進めやすくなります。
個人で申請する場合に必要な情報と書類
- 氏名(姓・名)
- 国籍
- 生年月日
- 出生地
- 現住所
- 政府発行の身分証明書(運転免許証またはパスポート)
- 身分証明書の有効期限
- 銀行明細書/銀行確認書、第三者による支払い明細書、水道、電気、ガス料金の請求書などの、住所証明書類
法人で申請する場合に必要な情報と書類
- 業種
- 事業所名
- 会社登録番号
- 登録されている事業所の住所
- 会社の受益所有者や法定代理人、役員に関する情報
- 銀行明細書/銀行確認書、第三者による支払い明細書、水道、電気、ガス料金の請求書などの、住所証明書類
3. Temuストアを設定する
販売者情報の入力が完了したら、次にTemu上で表示されるストア情報を設定します。
設定する主な項目は以下のとおりです。
- ストア名
- ロゴ画像
- 連絡先情報
ストア名やロゴは、Temu内で販売者を識別するための情報として使用されます。
4. 審査に合格後、販売を開始する
ストア設定と必要書類の提出が完了すると、Temu側による販売者登録に関する検証が行われます。この段階では、入力内容や提出書類に不備がないか、販売者としての条件を満たしているかが確認されます。審査が完了すると、Temu上で商品を登録し、販売を開始できるようになります。審査は、通常1営業日以内に実施されます。

Temuでの販売時に意識したいポイント
- 価格競争を前提とした販売チャネルとして考える
- 発送作業などの準備をしておく
- 48時間以内の出荷を前提にした体制を整えておく
- ブランド訴求より「商品力」と「供給力」を重視する
- マルチチャネル販売の一部として位置づける
- 商品名・説明文をTemuでの検索用に最適化する
- 実用的で分かりやすい商品写真を用意する
- 品質管理を怠らない
- レビューや評価を意識した運用を行う
価格競争を前提とした販売チャネルとして考える
Temuは、低価格の商品を強みとするECプラットフォームです。価格競争を前提とした販売チャネルとして捉える必要があります。「どこまで価格を下げても対応できるか」という視点で商品を検討することが重要です。
発送作業などの準備をしておく
Temuは従来、中国の工場や倉庫から直接消費者へ配送する越境ECモデルが主流でしたが、日本市場では国内倉庫から商品を発送する「Local-to-Local」モデルを導入しています。このモデルでは、日本の販売事業者が国内に在庫を持ち、注文が入るたびに自ら梱包・発送を行う必要があります。Local-to-Localモデルでは、セラーは単に商品を供給するだけでなく、物流の実行者としての役割も担い、在庫管理、梱包・出荷作業、配送業者の手配といった業務を自社で行う体制が求められます。
これは、倉庫に商品を送れば発送までを代行してくれる Amazonのフルフィルメントサービスのような仕組みとは異なり、注文が入るたびに、迅速に自社で対応する必要がある点に注意が必要です。特に小規模な事業者の場合、販売量が増えた際に物流対応が負担になることもあるため、販売開始前に「どこまで自社で対応できるか」を整理しておくと安心です。
48時間以内の出荷を前提にした体制を整えておく
Temuでは配送スピードが重視されており、注文が入ってから24〜48時間以内に出荷するよう出店者へ求められます。追跡番号付きの配送方法を選ぶ、梱包・発送をスムーズに行えるオペレーションを用意する、繁忙期でも対応できる余力を整えておくといった準備をしておくことで、販売開始後のトラブルを防ぎやすくなります。
ブランド訴求より「商品力」と「供給力」を重視する
Temuでは、販売者のブランドやストーリーを前面に打ち出す設計ではないため、ブランドの世界観を伝えたい、ファンを増やしたいといった目的には向きません。Temuの仕組みは、価格競争力のある商品や、安定して供給できる商品を扱う場合には、相性が良いといえます。
マルチチャネル販売の一部として位置づける
Temuは、低価格を強みとする販売チャネルのため、ブランドの世界観を伝えたり、ファンを育てたりする仕組みは限定的です。そのため、Temuを単独で事業の柱にするのではなく、自社ECやAmazonなど、マルチチャネルのうちのひとつと位置づけるのが現実的といえます。
たとえば、利益率やブランド訴求を重視する商品は自社ECやAmazonで販売し、価格競争力があり在庫を安定して動かしたい商品をTemuで扱うなど、チャネルごとに役割を分けて運用する視点が役立ちます。
商品名・説明文をTemuでの検索用に最適化する
Temuでは、膨大な数の商品が並ぶため、商品名や説明文は感覚で決めるのではなく、検索されやすさを意識して設定することが大切です。具体的には、次のような工夫をすることで、関連検索に表示されやすくなります。
- 類似商品をTemuアプリで実際に検索し、他の販売者がどんな商品名・説明を使っているかを確認し、似たキーワードを使う
- 抽象的な表現よりも、用途・特徴・サイズ感を具体的に伝える
- 「誰に」「何のための商品か」がひと目で分かる構成にする
実用的で分かりやすい商品写真を用意する
Temuでは、写真の分かりやすさが購入判断に直結します。次のポイントに注意して商品写真を用意しましょう。
- 明るく、シンプルで、商品がはっきり分かる写真を使う
- 複数の角度から撮影し、使用イメージやサイズ感が伝わるようにする
- 高さ・幅・奥行きなどを図で示したサイズ画像を用意する
撮影が難しい場合、3Dレンダリングを使う方法もありますが、可能であれば実物写真を含めた方が、顧客に安心感を与えられます。
品質管理を怠らない
Temuでは消費者の自己都合でも返品が可能な、比較的寛大な返品ポリシーが用意されています。返品が起きた場合、対応の業務負担が増加したり、顧客の不満や評価低下につながったりすることもあるため、品質管理は重要なポイントです。
信頼できる仕入れ先を選び、事前に品質を確認することに加え、問い合わせやトラブルが発生した際に対応できる体制を整えておくと安心です。
レビューや評価を意識した運用を行う
Temuでは、レビューや評価が商品の信頼性に大きく影響します。次のようなレビュー運営の姿勢が、結果的に評価の安定につながります。
- 商品の不具合や説明不足に関するレビューがあれば、レビュアーに内容を問い合わせる
- 改善できる点があれば、商品説明や写真に反映する
- 問い合わせやトラブルに対応できる体制を整えておく
レビューは「販売後の運用」で積み重なっていく要素のため、出品後も継続的に確認・改善する視点が大切です。
まとめ
Temuは、低価格の商品を大量に扱うことに強みを持つ越境ECプラットフォームです。価格競争力のある商品を安定して動かすための販売チャネルとして位置づけると、特徴を活かしやすくなります。価格設定、商品ページの作り方、品質管理、レビュー対応など、販売開始後の運用が成果を左右するポイントになります。
自社ECやAmazonなど他のチャネルと役割を分けながら、「どの商品を、どのチャネルで売るか」を整理したうえで活用することで、Temuはマルチチャネル販売を行っていく中で有効な選択肢のひとつになります。
まずは小さく試しながら、自社の商品や体制に合うかどうかを見極めていく姿勢が大切です。
Temuについてのよくある質問
Temuは安全なECプラットフォーム?
Temuは現在も日本を含む多くの国・地域で運営されている大規模なECプラットフォームです。
一方で、個人情報の取り扱いや製品の安全性について、海外メディアなどで懸念が指摘された事例があるのも事実です。
販売者としては、法令に適合した商品を扱う、商品説明や仕様を正確に記載する、品質管理を徹底するといった基本的な対応を行うことで、リスクを抑えた運用がしやすくなります。
Temuは日本の事業者でも出店できる?
Temuは以前は招待制でしたが、2025年6月から日本の事業者も自分で申請して登録できる仕組みになりました。法人だけでなく、個人事業主としても登録が可能です。
文:Taeko Adachi





