ビジネスの成功といえば大きな利益を生み出すことと思いがちですが、事業者によっては従業員のワークライフバランスの実現や、社会課題を解決する製品の普及などを重視しているケースもあります。しかしどのような形を成功とするにせよ、成果を挙げているビジネスには共通して実践されている取り組みが存在します。
ここでは、ビジネスを成功に導くための取り組みやコツを解説します。ビジネスの成功事例もあわせて紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

ビジネスの成功とは?
一般的にビジネスの成功とは、商品やサービスの販売を通じて利益を生み出すこととされますが、企業や経営者がもつ価値観、実現したい目標によって異なります。
販売数や売上高の拡大、企業の成長、リピート購入の獲得、ブランド認知度の向上などは、あらゆるビジネスに共通する目標といえるでしょう。
たとえばよく用いられる重要業績評価指標(KPI)には、利益や成長以外にも、顧客ロイヤルティやWebサイトのトラフィックなど、ビジネスの成功をさまざまな観点で測定するものが含まれています。こうした指標は目標達成までの道のりにおいて、自社が現在どの位置にあるかを評価するのに役立ちます。
ビジネスを成功・成長させるための10のコツ
- ミッションを明確にする
- 目標を設定する
- 強力なチームを構築する
- 顧客満足度を高める
- 最高の製品・サービスを提供する
- マーケティング戦略を立てる
- 変化に対応する
- 整理整頓をする
- 心身の健康を守る
- 地域社会に貢献する
1. ミッションを明確にする
成功するビジネスは、明確なミッションを持っています。ユニークなサービスを提供することであったり、低価格な商品であったり、環境への配慮を重視することであったりと、その形はさまざまです。
目指す将来像などを文章にまとめたミッションステートメントに明記しておくことで、ビジネスの成功を定義する行動指針となります。また、事業環境や顧客ニーズの変化に応じて、その内容やビジネスプランを定期的に見直すことも重要です。
2. 目標を設定する
ビジネスを成功させるには、短期および長期の目標を設定し、それぞれの設定理由を明確にしておくことが求められます。目標設定の際、有効なのが「SMARTの法則」と呼ばれるフレームワークです。
- S(Specific:具体性)
- M(Measurable:測定可能性)
- A(Achievable:達成可能性)
- R(Related:関連性)
- T(Time-bound:期限)
つまり設定すべき目標は、具体的で、測定可能で、達成できるもので、ビジネスに関連する指標で、達成までの期限が決まっている必要があるということです。たとえば、売り上げを伸ばすために月ごとの販売個数を設定する場合もあれば、マーケティングを強化してSNSのフォロワー数を増やすことを目指す場合もあります。
成功した起業家は、進捗状況を常にチェックしており、ビジネスの背後にある数字やデータを分析することで、目標に向かって前進できているかを確認しています。また、目標は一度決めたら終わりではありません。状況に応じて柔軟に見直しや調整を行い、行き詰ったときにはビジネスメンターなどの指導を受けることも有効です。
3. 強力なチームを構築する
多様な人材を受け入れ、協力し合える環境は、ビジネスの成功に欠かせません。さまざまな研究や調査でも、年齢や性別などのバックグラウンドが異なるメンバーで構成された組織は、高い生産性を発揮する傾向にあると示されています。たとえばTOPIX500の構成企業493社を対象とした大和総研の調査によると、女性役員比率の高い企業グループほど、ROE(自己資本利益率)やPBR(株価純資産倍率)などの値が高いことがわかっています。
多種多様な価値観や意見を取り入れる環境は、フィードバックや改善意見が出やすくなります。異なる視点が交わることで創造性が刺激され、課題解決がスムーズに進むでしょう。
一例として、サカタ製作所は社員が意見を出し合い、チームで改善して顧客満足アップという成果につなげています。また、協力しやすい環境を整えるために、残業ゼロや育休を取得しやすい仕組みづくりなどにも積極的に取り組んでいます。
4. 顧客満足度を高める
顧客満足度が高いと、リピート購入や口コミの拡散が積極的に行われるようになります。顧客のニーズに沿った価値提案(バリュープロポジション)のほか、問い合わせやトラブル対応といった日々の顧客サービスの質も、顧客満足度につながります。
顧客満足度を高めるためにも、以下のポイントを意識しましょう。
- ルールの明確化:返品ポリシーや対応範囲を明確にし、誤解や不満が起きるのを防ぐ
- 誠実な対応:ミスが起きた場合は事実と対応方針を伝え、信頼を損なわないようにする
- 解決志向:丁寧で落ち着いた対応を徹底し、顧客へ解決策を提示する
- 期限の提示と遵守:対応の目安を伝え、約束した期限を守る
- 業務効率化:定型対応はツールや自動化を活用し、速度と品質を維持する
5. 最高の製品・サービスを提供する
顧客の期待に応える、魅力的な製品やサービスはビジネスの成功に欠かせません。顧客が求める水準に達しているか、宣伝している通りの品質や効果が保たれているか、常に確認が必要です。重視される要素は業種や顧客層で異なるため、自社の強みを置くポイントを決めましょう。
たとえば土屋鞄製造所は、「時を超えて愛される価値をつくる」というコンセプトを掲げ、ものづくりの根底に日本の「丁寧」を置いています。職人は素材を熟知し、縫製や仕上げの細部まで気を配りながら、永く使える丈夫さと美しさを追求しています。さらに、製品開発から素材調達、製造、販売、修理まで一連の工程を自社で担い、購入後に経過した年月を問わず修理を受け続ける「永久サポート」を用意することで、同社ならではの価値を提供しています。
6. マーケティング戦略を立てる
マーケティング戦略の実施は、ブランド認知度を向上させ、売り上げを高めるための原動力となります。中小企業では節約のために経営者自身がマーケティング戦略を立てる役割を兼任しがちですが、具体的かつ効果的な計画を立てるためにはプロに任せることも検討しましょう。
ターゲット市場へ自社のメッセージを届ける手段は、デジタル広告やSNS、ポップアップストアの出店、インフルエンサーへの依頼などさまざまな形があります。重要なのは、チャネルをむやみに増やすことではなく、「どこで・何を・どのように伝えるか」を戦略として整理し、明文化しておくことです。発信の際は、常に最新のトレンドを意識し、変化に先回りする姿勢が求められます。
7. 変化に対応する
長く続くビジネスを作るには、変化への適応力が不可欠です。市場ニーズの急変や競合の参入といった外部環境の変化のほか、POSシステムの不具合で決済が止まるといった突発的な内部トラブルも起こり得ます。ビジネスを成功させるために重要なのは、こうした変化に適応し、柔軟に方向転換できる体制を持っておくことです。
変化に対応するためには、現状を定期的に見直す必要があります。たとえば売り上げや反応が落ちている場合は、商品内容や訴求、導線を見直しましょう。一方で、新しい手法やツールが常に優れているとは限りません。導入する際にはメリットとデメリットをよく検討し、目的に合うかどうかを確認したうえで、段階的に導入するのがポイントです。
8. 整理整頓をする
必要な書類やデータがすぐに見つからないような状態では、対応の遅れやミスにつながりやすく、日々の業務負荷も増えるでしょう。特に請求書や契約書、税務資料などは入念な管理が求められます。
自社での対応が難しい場合は、外部に依頼したり、ツールを活用したりする選択肢もあります。たとえば、Shopify(ショッピファイ)と連携できる会計ソフト「QuickBooks(クイックブックス)」を活用すれば、ネットショップからの注文や入金をまとめて一括管理できます。
9. 心身の健康を守る
起業家は、24時間365日仕事のことばかり考えてしまいがちですが、適切な休息や睡眠、友人や家族と過ごす時間は、メンタルヘルスを維持するために不可欠な要素です。無理が続くと、燃え尽き症候群につながることもあります。
実際、十分に休息をとった方がより高いパフォーマンスを発揮できるという研究結果もあります。あんしん財団とAMAROK JAPANによる日仏調査で、中小企業経営者の睡眠時間が短い傾向が示されており、慢性的な寝不足はパフォーマンス低下につながり得る点が指摘されています。
10. 地域社会に貢献する
ビジネスの成功は、利益や成長だけで測れるものではありません。事業を通じて地域社会に価値を提供することは、企業の信頼や認知を高め、結果として経営の安定にもつながります。
多額の投資は必要なく、地域イベントへの協力や商品の提供、学校や団体との連携など、身近な活動も立派な貢献です。また、地元の仕入れ先を選んだり、現地で雇用を生み出したりするなど、日々の事業活動そのものが、地域への貢献になる場合もあります。
まとめ
ビジネスの成功は、利益を生み出すこととは限りません。企業が掲げるミッションや目標によって、目指す形はさまざまです。ビジネスを成功させるコツとしては、KPIを設定して進捗を把握したり、意見が活発に飛び交うチームを作ったりすることが挙げられます。また、顧客満足度や製品の質を追求することも重要となります。おざなりになりがちですが、十分な休息を取り、心身の健康を保つことも忘れてはなりません。
ビジネスを成功に導くために、この記事で紹介した取り組みや習慣を取り入れてみてください。
ビジネスの成功に関するよくある質問
スモールビジネスの成功例は?
- ブルーベリーファームおかざき:年間60日営業で2000万円超の収益を上げ、農業の効率モデルを確立
- 株式会社行田製作所:省力化投資で工程自動化を実現し、業務効率の向上と賃上げを達成
- 株式会社倉岡紙工:「身の丈DX」で生産性と職場環境を改善
ネットビジネスの成功例を参考にする際の注意点は?
ネットビジネスの成功のためには、集客チャネルと導線設計に注意が必要です。検索やSNS、広告など入口が異なると必要なコンテンツや訴求も変わります。
また、単価や購入頻度などの商品特性によって最適な導線は変わるため、チャネルと商品が噛み合っているかを確認して参考にしましょう。
地域ビジネス成功例に多い取り組みは?
地域ビジネスの成功例では、信頼の積み上げとリピートにつながる仕組みが重視される傾向があります。具体的には、口コミや紹介、地域連携などの顧客との接点づくり、サービス品質の安定、対応スピード、地域特性に合わせた商品・サービス設計などです。
たとえば旅館業を営む株式会社湯元舘は、愛犬と泊まれる高級リゾートを展開したところ、宿泊客が「思った以上に満足した」と感じて、1泊の予定を2泊に延ばしたり、チェックアウト時に次回予約を入れたりするケースがあると紹介されています。リピート率は約35%とされ、さらに宿泊客がペット仲間の知人に勧めたり、滞在中の愛犬の写真をSNSに投稿したりして評判が広がり、稼働率がほぼ100%に達したと報告されています。
文:Yukihiro Kawata





